© NEWSポストセブン 提供 焼き鮭を餅に挟んで食べる「しょーびきもち」
2021年12月29日(水)発行の「NEWSポストセブン」のWebサイトに”全国「珍お雑煮」茶碗蒸し風から、もちなし、汁なしまで 厳選4品”という見出しの記事が掲載されています。
”「日本中のお雑煮を調べていると、驚きのお雑煮に出くわすことがあります」と言うのは、お雑煮博士・粕谷浩子さん。汁物にもちを入れた料理がお雑煮なら、もはやこれはお雑煮ではないという一品も。味は絶品だという、珍しいお雑煮を紹介します!
●茨城「しょーびきもち」
正月三が日に食べる“焼き鮭サンドもち”
茨城県筑西市から水戸市の一部では、正月三が日はお雑煮やおせち料理を食べずに、このしょーびきもちを食べる家庭も。
「“しょーびき”とは塩鮭のこと。切り身の鮭を焼いてほぐし、焼きもちに挟んだり、のせたりして食べます。普段炊事をしている女性に休んでもらうため、男性が用意するそうですよ」(粕谷さん・以下同)。
●福井「若狭小浜の黒糖雑煮」
ぜいたく品だった砂糖をたっぷり。福井県小浜市に伝わるのは、具のないみそ汁に丸もちを入れ、最後に黒糖をかけたお雑煮。
「江戸時代、小浜の港には北前船が貴重な砂糖を運んできていました。正月くらいは砂糖を食べたいという庶民の思いが雑煮に表れたのではないでしょうか。黒糖特有のコクがみそと意外に合って絶品!」。
●福岡「筑前朝倉の蒸し雑煮」
粕谷さんイチオシのもち入り茶碗蒸し。福岡県朝倉市周辺では茶碗蒸しに丸もちを入れた蒸し雑煮が主流。これが絶品だという。
「江戸時代、福岡藩は長崎警備にあたっていたため、卓袱料理(中国料理や西欧料理を和風にアレンジした料理)がいち早く入ってきました。茶碗蒸しもその1つ。藩主が養鶏を奨励していたことで、卵が手に入りやすかったこともあり、茶碗蒸しベースのお雑煮が作られたのかと」。
●沖縄「中味汁」。お雑煮代わりの祝いの汁
47都道府県のなかで、唯一お雑煮がないのが沖縄県。代わりに食べているのが中味汁だ。
「“中味”とは豚の内臓のこと。3回ほどゆでこぼして臭みを抜いた中味と、かつおのだし汁に干ししいたけ、かまぼこ、黒い糸こんにゃくを刻んで、一緒に煮込んだものをいただきます。琉球時代から続く伝統料理です」。ちなみに、沖縄の年越しそばはソーキそばになる。
取材・文/土田由佳 レシピ作成・写真/粕谷浩子(※女性セブン2022年1月6・13日号”)