teneramente(テネラメンテ)
優しく、愛情深く
という意味の音楽用語。
ベートーヴェンの《ピアノソナタ》のジャンルにおいては、
この「teneramente」が最初に使われたのは、
《ソナタ第27番 ホ短調 op.90》の第2楽章においてです。
さらに続いてこの「teneramente」が出てくるのは、
このソナタから約6年後に書かれた
《ソナタ第30番 ホ長調 op.109》の終楽章、
第2変奏においてです。
そして最近、
ブラームスの最後のピアノ独奏曲
《4つの小品op.119》を勉強するにあたって、
この「teneramente」が使われていることを見つけたのでした。
二つ目の曲《Intermezzo ホ短調》の中間部
これを見つけたとき、
なんとも感慨深い思いが心をよぎったのでした。
ベートーヴェンの音楽が、
ブラームスに確実に引き継がれていることを、
「人から人へとうつり行く美しき伝統の軌跡」を、
目の当たりにした感動・・・といえましょうか。
いやしかし、それは
受け継ぐ、とか、継がない、といった「意図的」なものでなく、
ブラームスがベートーヴェンの音楽にある「teneramente」に
共感し、慣れ親しんだ末に、彼自身が音楽を書いてみた際に
「自然と出てきたもの」のようにも思えるのです。
「自然」であるからこそ、感動はひとしおなのですが。
さらにもうひとつ、
「teneramente」の表情に大成功している!?と思われる音楽を
ブラームスの作品の内に見つけました。
それは《op.119》のひとつ前の作品、
《op.118》の二曲目、《Intermezzo A-Durイ長調》においては、
曲全体が「teneramente」の雰囲気を有していると
ブラームスは指示しているのです。
これは「teneramente」の特徴を音楽として
決定的ともいえるほど象徴している曲ではないでしょうか。
無上に美しいこの曲を、
「teneramente」という言葉と一緒に考え・感じ、
そして元祖ベートーヴェンの「teneramente」と照らし合わせてみると、
なんだか、
音楽の深みが一層増してくるような気がしてくるのでした。
P.S.
この文章を書くにあたって
インターネットで「teneramente」をちょっと調べてみたところ、
どうやらシューマンも《幻想小曲集》にて、
この音楽標語を使っているようです。
シューマンも言わずと知れたベートーヴェンの大ファン、
彼も、大いにこの「teneramente」音楽性にあやかったのかもしれません。
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この記事に関するコメントやご連絡等ございましたら、
以下のアドレスまでメッセージをお送り下さい。
PianistSegawaGen@aol.com
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優しく、愛情深く
という意味の音楽用語。
ベートーヴェンの《ピアノソナタ》のジャンルにおいては、
この「teneramente」が最初に使われたのは、
《ソナタ第27番 ホ短調 op.90》の第2楽章においてです。
さらに続いてこの「teneramente」が出てくるのは、
このソナタから約6年後に書かれた
《ソナタ第30番 ホ長調 op.109》の終楽章、
第2変奏においてです。
そして最近、
ブラームスの最後のピアノ独奏曲
《4つの小品op.119》を勉強するにあたって、
この「teneramente」が使われていることを見つけたのでした。
二つ目の曲《Intermezzo ホ短調》の中間部
これを見つけたとき、
なんとも感慨深い思いが心をよぎったのでした。
ベートーヴェンの音楽が、
ブラームスに確実に引き継がれていることを、
「人から人へとうつり行く美しき伝統の軌跡」を、
目の当たりにした感動・・・といえましょうか。
いやしかし、それは
受け継ぐ、とか、継がない、といった「意図的」なものでなく、
ブラームスがベートーヴェンの音楽にある「teneramente」に
共感し、慣れ親しんだ末に、彼自身が音楽を書いてみた際に
「自然と出てきたもの」のようにも思えるのです。
「自然」であるからこそ、感動はひとしおなのですが。
さらにもうひとつ、
「teneramente」の表情に大成功している!?と思われる音楽を
ブラームスの作品の内に見つけました。
それは《op.119》のひとつ前の作品、
《op.118》の二曲目、《Intermezzo A-Durイ長調》においては、
曲全体が「teneramente」の雰囲気を有していると
ブラームスは指示しているのです。
これは「teneramente」の特徴を音楽として
決定的ともいえるほど象徴している曲ではないでしょうか。
無上に美しいこの曲を、
「teneramente」という言葉と一緒に考え・感じ、
そして元祖ベートーヴェンの「teneramente」と照らし合わせてみると、
なんだか、
音楽の深みが一層増してくるような気がしてくるのでした。
P.S.
この文章を書くにあたって
インターネットで「teneramente」をちょっと調べてみたところ、
どうやらシューマンも《幻想小曲集》にて、
この音楽標語を使っているようです。
シューマンも言わずと知れたベートーヴェンの大ファン、
彼も、大いにこの「teneramente」音楽性にあやかったのかもしれません。
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今、ベートーヴェンのソナタ30番にちょうど取り組んでいまして、作者の指示の意味をきちんと調べようといろいろ当たっていたらこのコラムに出会いました。偶然ですがソナタ27番は弾いたことがあり、このTeneramenteという言葉を通じてその2曲(+ブラームスも!)の繋がりを感じられたことや、また、瀬川先生に行き当たったことに感銘を受けました。
音楽は深いですね!