以前にも書いたことがありましたが、
あらためて、やはり、ベートーヴェンの
『ハイリゲンシュタットの遺書』
『不滅の恋人への手紙』が、
この大作曲家の残した音楽と
密接な結びつきを持っていることを、
より一層深く感じるようになりました。
この二つの書が、隠し棚の奥に大事にしまわれていたことが、
ベートーヴェン自身、この二つの書に対する何がしかの思いがあって、
そこに大事に保管していたと想像すること . . . 本文を読む
ベートーヴェンのピアノソナタ中、
最大にして最難の作品といえましょう
《ピアノソナタ29番op.106“ハンマークラヴィア”》
この曲を弾かずして、ベートーヴェンのピアノソナタ
全32曲の演奏は達成できないため、
ここが最大の難関となって、多くのピアニスト達の前に
立ちはだかると言って嘘ではないでしょう。
私事で恐縮ですが、
自分が昨年ベートーヴェン・ツィクルスに
挑むことができたきっかけは、 . . . 本文を読む
ベートーヴェン、これが本当の最後のピアノ独奏曲の大曲、
《ディアベリのワルツによる33の変奏曲op.120
33 Veraenderungen ueber einen Walzer von A.Diabelli op.120》
通称《ディアベリ変奏曲》の譜読みをしました。
「集大成」
そんな言葉があてはまりましょうか。
後期のピアノソナタ群、具体的には
《op.101》《op.106》《o . . . 本文を読む
「感性」について考えてみました。
感性というものがなんであるか、
生まれつきの天性のものなのか、
あるいは後天的な、人生を歩み続けた
色々な経験・体験から培われるものなのか、
あるいはその両者なのか、
一概に一言にまとめられそうにありません。
しかし、我々が携わる音楽の勉強というものは、
音楽が「芸術」という分野の一分野を成すことに疑いはなく、
その芸術において「感性」というテーマは
大きな部 . . . 本文を読む
前回の記事にてご紹介いたしました
ベートーヴェン作曲の《ピアノソナタ31番op.110》
のIII楽章、「嘆きの歌」は冒頭にて
ベートーヴェン自身による指示で、
「p(ピアノ)」という強弱記号が記載されています。
ドイツの伝統的な(と言っても過言ではないと思うのですが)
ベートーヴェンの音楽におけるこの
「p」という強弱記号の捉え方は、時に、
一般的な音量の小さい「p」を越えて、
決して音量的に . . . 本文を読む