ー 1800年
ベートーヴェンの30歳の肖像
ベートーヴェンの音楽は、『告白録』の著者〔ルソー〕のなかでその試みを果たしたばかりの、傲れる自然の同じ力の娘である。これは二つながら、新しい季節を告げる花の女神である…
ルソーに向って、ベートーヴェンに向って、拳を振りあげて見せるあの子供たちを私は讃美する。彼らは春かそれとも秋に呼びかけて、避けがたい落葉を、あるいは当然な新しい芽生えを、促しているかのようだ。ルソーと〈シュトゥルム・ウント・ドラング〉、これら三月の驟雨、これら春先の嵐は、古い社会の崩壊と、新しい社会の再興を予告している。そして新しい社会が建設されるためには、それに先き立ってまず個人が解放されなければならない。旧い権威に反抗する個人主義の要求は、来るべき新秩序の標識であり、先駆である。すべてことはその好機に乗じて実現する! ここではまず自我。ついで共同社会。
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