ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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私は大勢の生徒が
暗譜では非常に苦労しているのを知っているので
ここで強調しておくが、要するに、
真面目に努力して丁寧に暗譜することだ。
暗譜に時間をかければかける程、
君の脳裏に焼きつけられる音符の印象は濃くなり、
暗譜はそれだけ確かになるのだ。
暗譜は、 . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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ここで、ちょっとの間、
とても重要な暗譜についてお話したい。
実は、音楽会で楽曲を暗譜してひく風習は
音楽史上、比較的新しく紹介されたことで、
モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンの時代には
暗譜が必要であると考える音楽家は非常に少なかった。
近年、あ . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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美しいタッチやきれいなレガートは、
ただ願っているだけでは得られない。
また、鍵盤の上で何時間練習しても、
不注意で怠慢な練習ではそれらは得られない。
美しいタッチやきれいなレガートを身につけるには、
まず音に対する聴覚を発達させ、
美に対する思考を深め、
それ . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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ピアノでひかれる模範的なレガートとは、
隣り合う二つの音が、おたがいに
双方の音の中に流れ込んでつながるようでなければならない。
そこが要点だ。
そして、
音と音をたがいに流し込むようにつなげるには、
二つの音の質が類似したものでなければ不可能だ。
言いかえれば . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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ピアノのタッチ(打鍵法)の一つであるはずのスタカートが、
しばしば指先で浅く鍵盤をたたく雑音として
本来の目的を損われているのを聴く。
君たちはたぶんそれに気がついていないだろう。
曲の特殊なパッセージで、
太鼓をたたくようなスタカートの効果は大きな役割を果たす。 . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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(アントン)ルビンシュタインの肖像画を例にとってみよう。
これを描いた絵かきは、
ルビンシュタインがピアノに向かっている
数多くの写真でも捉えることのできなかった
彼の力の入れ方をはっきりと描いている。
多分、ルビンシュタイン自身、
カメラではそれを捉えることは . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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人間の喜び、悲しみ、苦しみ、後悔、苛酷さ、恐怖などの
感情がすぐ人の声にひびくように、
ピアノでは、演奏者の感情を指や腕に反応させてひくことが可能であり、
そのようにひく本当のテクニックを習得したピアニストの演奏には、
こまやかな感情の動きが自然に盛られている。
. . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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手の位置(手の傾斜具合とでも言おうか)も、
ひくパッセージに最も即していなければならない。
手の位置は自分にとって一番ひきやすい位置が理想の位置だ。
よく生徒が、難しいパッセージで悪戦苦闘したすえ
「不可能だ」というのをきくが、そのようなとき
手くびの位 . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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どうしていい加減なひき方をする生徒がこんなに多いのだろうか?
その大きな理由は、
生徒の頭の中でひくことがはっきりしていないからだ。
いま仮りに君が知っている曲の中から一番やさしい曲を選んで
普通のテンポでひいてみる。
頭を使って考えながらひくと演奏は正確になり . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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繊細な奏法に関する原則は、
いつも指先を鍵盤の表面に近い位置に用意してひくことだ。
それには、
ひいたあと鍵盤から手をとるとき、
指を鍵盤の上まで戻したら、それ以上高くとらないことだ。
この簡単な原則は、
繊細な箇所で、間違って強くひいてしまったりすることを防ぎ . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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歌い流れるパッセージの最後の音をひくときは、
生徒は、鍵盤の上で基本的な打鍵法のさかさまをするとよい。
手くびは、飛行機が空中に上がるときのようにしずかに上げて、
ピアノの中でダンパーが不自然な衝撃なしに弦の上に下りるように、
指先は鍵盤をしずかに上げながらはなし . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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まず美しい音とはどのような音かというイメージを
頭の中に持たなければならない。
ある人は生まれつき音に対して優れた感覚を持っている。
その人たちは言われなくても美しい音とはどんな音かを知っている。
それはちょうど、バランスのとれた趣味の良い
色彩感覚を持って生 . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーータッチ(打鍵法)とは最も芸術的な指先が、最も素直に打鍵できるように、必要のない余計な動作をすべてとり除くことだと思う。無駄なものをとり除くことにおり真に価値が出てくるということは、芸術一般に共通して言える基本的な原則だ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋
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普通、人はスケールの練習は
体操のように指の筋肉を強めるのが目的だと思っている。
無論それも確かであるが、
筋肉を強めるには他にも良い練習がいくつかある。
スケールの練習の本当の価値は、
正しい指使いを身につけることで、どの調性の曲をひいても
自動的に正しい指使い . . . 本文を読む
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)・・・語調がきつく、時に嫌味な印象!?が感じられなくもない文章なのですが、それでも、とても興味深い内容が少なからずあり、その一部をご紹介してゆきたく思います。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーピアノの学習は初歩の段階で大切なことを中途半端に教育されると、勉強が進むにつれとりかえしのつかない欠陥を生じて来る。手ほ . . . 本文を読む