吉田秀和著 『現代の演奏』新潮社より抜粋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私のきいたのは、ほかでもない、
(リリー)クラウスがひいたのと同じ
ハ短調の協奏曲である。
http://www.youtube.com/watch?v=qoJAG5pmceg
これをきいていると、まず、
モーツァルトという天才が、
まるで昆虫のような本能でもって、
一分の隙もなく、
音楽の糸を . . . 本文を読む
吉田秀和著 『現代の演奏』新潮社より抜粋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ギーゼキングは、
ドビュッシーと並んで、モーツァルト演奏の
大家でもあった。
~~中略~~
私は、ここではただ、
彼のモーツァルト演奏の要諦は、
テンポの適正、響きの清澄といった比較的表面的な点ではなくて、
あのモーツァルトの透明な旋律をひいて、
あくまで、背後の和声の流れの充実を . . . 本文を読む
小林秀雄 著『モオツァルト』より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
モオツァルトという最上の音楽を聞き、
モオツァルトという馬鹿者と附合わねばならなかった
ランゲの苦哀を努めて想像してみよう。
(ヨゼフ・ランゲ作 1782年作)
ランゲが出会ったのは、
決して例外的な一問題という様なものではなく、
深く自然な一つの事件なのであり、
彼が、この取付く島もない事件に固執して . . . 本文を読む
小林秀雄 著『モオツァルト』より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は、その頃、
モオツァルトの未完成の肖像画の写真を一枚持っていて、
大事にしていた。
それは、巧みな絵ではないが、
美しい女の様な顔で、
何か恐しく不幸な感情が現れている奇妙な絵であった。
モオツァルトは、大きな眼を一杯に見開いて、
少しうつ向きになっていた。
人間は、人前で、こんな顔が出来るもの . . . 本文を読む
エドウィン・フィッシャー著『音楽観想』より抜粋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誰かに対して、なにか特別の好意を示してあげたいと思うときには
いつも、わたくしは、ピアノに向かってその人のために
モーツァルトの作品を一曲演奏するのがつねである。
それに、いま、
モーツァルトについて何か書けという注文なのだ。
まるで、わたくしの大好きな人に向かって、
その人へのわたくし . . . 本文を読む