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このアダージオは傑作に属するもの、しかし最も憂鬱なベートーヴェンでもあるから、それにふさわしい表現をもって演奏される。このような音楽を奏する際には、自分の気持ち、感覚だけでは不十分で、陽気に、優雅に、情緒的な情感たっぷりの作曲を、それぞれ異なった指や手の重さで鍵盤に移し伝えねばならず、するとこの厳粛でゆったりと流れるアダージョの音と音楽を作ることができる。またこのラルゴはきちんと計画されたリタルダンドとアッチェレランドでこの楽章の効果がより引き立つ。たとえば23小節後半や、27小節後半から28小節全部を少し速めに、71〜75小節にかけて速さと力を増し、76小節でもとの静けさにかえるなどが挙げられる。
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