今年2011年、
リスト生誕200年を記念して、
クラシック音楽道場でも、多くのリスト作品を取り上げてきました。
昨日11月の回では、
リスト作曲《2つの伝説》の第2曲、
《波を渡るパオラの聖フランチェスコ》を取り上げ、
今回もまた実演とともに、
作曲者リスト自身が、この作品の出版に際し併記した標題文を
音楽と照らし合わせながら、理解を深めよう・楽しもうと試みました。
そのまとめを、ここにしてみようかと思います。
使用楽譜は、
全音楽譜出版社(2010年発行)野本由紀夫 校訂
です。
最近の野本氏校訂による全音から出されているリストの楽譜は、
真摯な原典版をまとめようとしている姿勢が素晴しく、
どれも丁寧な解説がついており、
そして何よりも我々日本人にとってありがたい!?ことは、
リストが、おもに作品の冒頭に掲載した、時には長大な文章が
日本語に翻訳されており、それを読むことができるということ!!
そのありがたさを、ことあるごとに感じさせられます。
原典版の楽譜としての質も高そうで、
安価であることも嬉しく!?(ちなみにこの楽譜は1200円)、
お勧めの版であります。
それでは、
作品の解釈に入ってゆきましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こちらの画像は、
この作品《波を渡るパオラの聖フランチェスコ》の冒頭に
作曲者リスト自身の意図により記載された標題文の
日本語版(野本由紀夫訳)です。
楽曲の全貌は、文章の左行、3段楽目に
まとまっていると考えてもよさそうです。すなわち、
聖フランチェスコが荒れた波の上に立っている。
波は彼を、彼の目的地まで運んでいく。
それは自然の秩序を支配する信仰の秩序に従ってのことである。
彼のマントが足もとに広がっている。
4大要素に命じるためのように彼は片手を高く上げ、
もう片方の手には燃えさかる石炭をもっている。
石炭は、イエス・キリストのすべての使徒がもつ内なる火の象徴である。
彼のまなざしは静かに空に固定されている。
空には聖フランチェスコのモットー、
至高の言葉〈カリタス[愛徳]!〉が、
永遠で傷ひとつない栄光のなかで輝いている。
という文章です。
この音楽作品をとらえるにあたっての
おおまかな筋書きは、
この文章にまとまっているのではないでしょうか。
ちなみにこれは、
作曲者リストが他の書物から引用したのではない
自身の言葉のようです。
上記の文章より、今後の解釈のために
この曲の解釈に有用と思われるキーワードのひとつに、
「4大要素」
という言葉があることを、覚えておいていただければと思います。
今回ご紹介いたしました文章を基軸に、
楽曲の物語が進むと考えられましょう。
ここからは、時系列に!?
物語を・音楽を追ってみたく思います。
(つづく)
♪
リスト生誕200年を記念して、
クラシック音楽道場でも、多くのリスト作品を取り上げてきました。
昨日11月の回では、
リスト作曲《2つの伝説》の第2曲、
《波を渡るパオラの聖フランチェスコ》を取り上げ、
今回もまた実演とともに、
作曲者リスト自身が、この作品の出版に際し併記した標題文を
音楽と照らし合わせながら、理解を深めよう・楽しもうと試みました。
そのまとめを、ここにしてみようかと思います。
使用楽譜は、
全音楽譜出版社(2010年発行)野本由紀夫 校訂
です。
最近の野本氏校訂による全音から出されているリストの楽譜は、
真摯な原典版をまとめようとしている姿勢が素晴しく、
どれも丁寧な解説がついており、
そして何よりも我々日本人にとってありがたい!?ことは、
リストが、おもに作品の冒頭に掲載した、時には長大な文章が
日本語に翻訳されており、それを読むことができるということ!!
そのありがたさを、ことあるごとに感じさせられます。
原典版の楽譜としての質も高そうで、
安価であることも嬉しく!?(ちなみにこの楽譜は1200円)、
お勧めの版であります。
それでは、
作品の解釈に入ってゆきましょう。
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こちらの画像は、
この作品《波を渡るパオラの聖フランチェスコ》の冒頭に
作曲者リスト自身の意図により記載された標題文の
日本語版(野本由紀夫訳)です。
楽曲の全貌は、文章の左行、3段楽目に
まとまっていると考えてもよさそうです。すなわち、
聖フランチェスコが荒れた波の上に立っている。
波は彼を、彼の目的地まで運んでいく。
それは自然の秩序を支配する信仰の秩序に従ってのことである。
彼のマントが足もとに広がっている。
4大要素に命じるためのように彼は片手を高く上げ、
もう片方の手には燃えさかる石炭をもっている。
石炭は、イエス・キリストのすべての使徒がもつ内なる火の象徴である。
彼のまなざしは静かに空に固定されている。
空には聖フランチェスコのモットー、
至高の言葉〈カリタス[愛徳]!〉が、
永遠で傷ひとつない栄光のなかで輝いている。
という文章です。
この音楽作品をとらえるにあたっての
おおまかな筋書きは、
この文章にまとまっているのではないでしょうか。
ちなみにこれは、
作曲者リストが他の書物から引用したのではない
自身の言葉のようです。
上記の文章より、今後の解釈のために
この曲の解釈に有用と思われるキーワードのひとつに、
「4大要素」
という言葉があることを、覚えておいていただければと思います。
今回ご紹介いたしました文章を基軸に、
楽曲の物語が進むと考えられましょう。
ここからは、時系列に!?
物語を・音楽を追ってみたく思います。
(つづく)
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