【1幕1場】
昔々、アルモンド王国という所でのお話。(盲目となってしまった老アルケル王の治めるその国には兄弟、兄ゴローと弟ペレアスがいました。)
ある日、ゴローは狩りに出かけたところ、深い森の中に迷い込んでしまいます…すると、水辺のそばに美しく若い女性が佇んでいるのが見えました。声をかけてみると女性は驚き、「近付くと私、水に飛び降りて死にます」と拒絶…どこから来たのか尋ねても、ただ「遠くから」としか答えません…泉の中に見える王冠は彼女がもらったものだそうですが、ゴローがそれを拾おうとすると、彼女は「いらない!それがあるくらいなら飛び降ります」とまたも拒絶…
少しずつなだめながら、落ち着いてきた彼女は初めてゴローのことを何者なのか尋ねます。ゴローは自分がアルモンド国の老アルケル王の息子で、王子であることを明かしますが、彼女はそのことを気にも止めず、彼の白髪混じりの髪を指摘したりします…
彼女の名前はメリザンド。
暗く寒くなってきて、ゴローはメリザンドのことを心配して、一緒について来るよう説得します…とはいえ、彼自分も「道を見失っている」と言いながら…
(演奏)
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その後、メリザンドはゴローの妻となり、お城に住んでいます。ここには、ゴローの弟のペレアスも居ます。
【2幕1場】
メリザンドはそのペレアスに連れられて、お城の外にある公園の泉へと一緒にやってきました。(これは、1幕1場でゴローとメリザンドが出会った森の水辺とは違いますので、演出の都合上…同じように見えてしまいますが、別の場所ということで御了承下さい…)
ペレアスは自分が、お昼頃の日が高く暑い時に、この公園の泉にやってきて木陰で涼むのが好きとメリザンドに言います。ここは「盲人の泉」と呼ばれ、目が開く奇跡がおこると言い伝えられていたところですが、老アルケル王が視力を失ってからというもの、すっかり人気(ひとけ)は無くなってしまいました…
メリザンドは、泉に手を入れて、水の底を見たいといいますが、その拍子に長い髪が水に浸かり、その見事な身の丈よりも長いという髪の毛にペレアスは見とれてしまいます…
ペレアスはメリザンドに、ゴローとの出会いやその時のことを聞き出そうとしますが、話がそれて、メリザンドは「水の底に何かが輝いている!」と言い、そして「ゴローからもらった指輪」を放り上げながら遊び始めます…「落ちそうで危ない!」と注意するが矢先に、指輪は水の中へ落ちてしまいます…
メリザンドは「指輪は無くなってしまった」と言います…ペレアスは「きっと見付かるでしょう、あるいは他のものを」と慰めますが、メリザンドは「いや、もう無くなってしまった、他のものも」と言います。
指輪が無くなった時には正午の鐘がなっていたとのこと、ペレアスはメリザンドに帰るよううながします。「ゴローに指輪のことを聞かれたらなんと言いましょうか」悩むメリザンドにペレアスは「真実を、真実を」と最後に言って、二人はこの泉をあとにします…
(演奏)
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【2幕2場】
場所はお城の中の一室。
ゴローは、狩りに出た先で、正午の鐘とともに暴れだした馬から落ちて怪我をしてしまい、ベットに横になっていますが、最後には自分の健常さを誇ります…
メリザンドは彼を看病しようとしますが、ゴローは断り続けます。するとメリザンドは泣き始めて、自分が「私は病、幸せではない、もう長く生きられない気がする」などと言い始めます…
ゴローは心配して理由を尋ね「王のせいか?母のせいか?それともペレアス!?」と問い質しますが、メリザンドは否定。更にゴローは「私から離れたいのでは?」と言い迫っても「そうではありません!」とメリザンドは否定…
メリザンドは「ペレアスと話していると、彼は私のことが好きではないよう…」と言いますが、ゴローは彼が変わり者で若く、気にする必要はない、と彼女をなだめます。そして、陰鬱なこの古いお城や国土のことを言い、しかしじきに慣れ、喜びも感じられようと説いて、「自分に出来ることはなんでもしよう」とメリザンドの手を取ります。
そこでゴローは、メリザンドが指輪をしていないことに気付き、問いただし始めます…メリザンドは「指輪は無くなったのではなく、泉に落としてしまったのです、貴方の小さな息子のイニョルドに貝殻を拾ってあげようとして」と、言い訳をします…
ゴローは、すぐさま指輪を取りに行くよう命じ、暗い闇夜を怖がるメリザンドに、ペレアスと一緒に行けばよい、と言い放ちます。
「大事な指輪が戻るまでは眠ることが出来ない!」というゴローをあとに、メリザンドは「私は幸せではない」と言いながら出てゆきます…
(演奏)
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結局メリザンドはペレアスと一緒に指輪を探しに行きましたが、やはり見つかりませんでした…
【3幕1場】
城の塔の場面
夜、メリザンドは塔の窓辺で、その長い髪を夜用に整えながら独り歌います。「私は日曜の正午に産まれた」とも…
そこへ、塔の下からペレアスが声をかけます。塔の壁に見える美しい髪の毛、星々の煌めきを語り合い、二人はなるべく近付こうとし合います。ペレアスは、自分が明日には遠い旅へと出発することを伝えますが、メリザンドはそれを嫌がります。ペレアスは「最後に君の手を取らせて欲しい」と懇願、手を伸ばし合う二人ですが、するとついにはメリザンドの長い髪の毛が塔の上から落ちてしまいます。
ペレアスは驚き、手に取り、腕に首に巻き付け、メリザンドの「離して下さい」という声は届かず、すっかり夢中になってしまいます…
「一晩中はなさない」という言葉に、うっとりと「ペレアス」と初めて呼び掛けるメリザンド…
髪の毛を枝にからめて逃げられないようにしたり、髪に口付けして戯れるペレアス、すると塔の中からは鳩達が飛び立ち二人の周囲を周ります。
するとメリザンドは足音を聞きます。ゴローが近付いてくるのですが、ペレアスは絡まった髪の毛を枝から離すことができません…
ついに現れるゴローは、二人を「あなた達は子供のようだ!…なんたる子供…」と叱って、皆、退場してゆきます…
(演奏)
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ゴローはペレアスを連れて不気味な地下室へ、そして海の見える屋上へと、二人でゆきました。そこでペレアスに、メリザンドにはお腹の中に赤ん坊がいることを伝え、繊細な彼女になるべく近付かないよう窘(たしな)めます。
その後、疑心暗鬼に駆られるゴローは、小さな息子のイニョルドを肩に担いで、ペレアスとメリザンドが二人でいる部屋の中を覗かせ、嫌がり痛がるイニョルドに二人の様子を無理やり報告させようとしますが、「二人は何もしていない」とイニョルドがいくら言っても、ゴローは聞く耳をもちませんでした…
ペレアスはいよいよ明日には出発の予定、城の廊下でメリザンドに会い、以前二人で行った公園の「盲人の泉」のところで待ち合わす約束を取り付けました。
【4幕2場】
老アルケル王とメリザンドが二人でいる部屋に、ゴローがやって来ます。彼は額から血を流していて、メリザンドが拭こうとしますが、それを拒絶し突っぱねて、剣を持ってくるよう命じます…しかしそれは彼女を切るためではなく、ただ切れ味を調べたいとか…
メリザンドのことを「偉大なる無垢・無邪気innocence」と言って罵り、ついには髪の毛をつかんで引きずり回す有様…
落ち着きを取り戻して「全てはどうということはない、私は年を取りすぎている、どうなることか、待っていよう…」と言い残し去るゴロー…
残されたメリザンドが言うは「私は幸せではない」…
(演奏)
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ペレアスは、盲人の泉でメリザンドを待ちます。「これが最後の晩だ」といいつつ、彼女を呼び寄せたことを後悔したり、やはり最後に伝えるべきことがあると、右往左往します…
【4幕4場】
ついにメリザンドが現れ、ペレアスは人目につかないよう日影へ誘いますが、メリザンドはそれを拒む…
ペレアスは彼女に伝えることがあると言い、自分が出発すること、そしてついに「貴女が好きだ」と告白します。メリザンドも同じく答え、ペレアスは有頂天に!好き合っていたのは、二人が出会ってすぐの時からとのこと…メリザンドが嘘をついて過ごしていたのは夫ゴローに対してだったとのこと…
ペレアスが「貴女をちゃんと見たい」と言って日影から出ようとするのを、日影の中に居たいと拒むメリザンド…
すると、城の門が閉まる音が聞こえ、二人は城外に取り残されたことが分かりますが、それで良い!とメリザンド…
二人は抱き合う…
その二人の伸びた影の先に気配があり、それがゴローであることに気付く二人…ペレアスはメリザンドに逃げるよう促しますが聞かず、ゴローは剣を手に持ち、二人を殺そうとしている…
「その方が良い!」とメリザンド、二人は激しく接吻をして、「まるで星々が降り注いでくるよう!」「私も、私も!」と夢中に…
ついにゴローがやってきてペレアスを刺す…
恐れおののくメリザンドは逃げ、ゴローはその後を追ってゆく…
(演奏)
2018年12月08日
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