音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

♪クラシック音楽の伝統を受け継ぐ真の音楽芸術家を目指して活動しています♪ 「YouTubeクラシック音楽道場」も更新中♪

二つの楽器は、いつも同じ動きに合わせなくていい!? ~ ベートーヴェンの場合

2017年03月19日 | ◆一言◆

ベートーヴェン作曲の《ヴァイオリン・ソナタ》

原典版の楽譜には、ヴァイオリンには「sfスフォルツァート」が書かれていて、しかしピアノパートには作曲者自身は何も書かなかったことが分かるよう、括弧つきで「(sf)」と記されていることが見えるでしょうか?(鉛筆で消してしまった・・・その下です)

なぜ、同じ場所で、片方に書き、もう片方には書かなかったのか!?
単に「忘れた」では済まされない、解釈の余地があるように、私には思えるのです。

ヴァイオリンに書かれている「sf」は、この辺りにおける最高音であること、ゆえに強調されていると解釈できましょう。

しかしピアノの方は、別に最高音であるわけではありません・・・
ここに書かれた括弧付きsfを省いて考えてみる理由はいかに!?

この辺りは「カデンツ」と呼ばれる「終止形」の音楽、その中で抑揚の盛り上がりを見せるのは
「サブトミナント([IV]や[II]や[VI]の和音)」や「ドミナント46」の和音。
ゆえに、
カデンツの最初のふつうの音を「sf」で強調してしまうと、
その次に現れる抑揚の盛り上がるべき音が強調出来なくなってしまう・・・
そうならないために、ベートーヴェンはピアノには「sf」を書かなかったのでは!?

というのが、私の考えるところです。

ヴァイオリンとピアノが同じではない別々の抑揚やアクセントを見せる音楽は、
平坦ではなく立体的で、
奏者達が単に一緒に音を合わせているだけてはない、それ以上に充実した音楽性が表現される、
より高度な音楽が設計されている!?のかもしれません。

ベートーヴェン・・・
約200年ほど前に生きていた人間の仕業・・・
本当に凄いです・・・





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3月14日(火)のつぶやき | トップ | 「転調」に際し、音のニュア... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。