ドビュッシー作曲の曲集《子供の領分Children's corner》の2曲目は、
《象(ジャンボー)の子守歌Jimbo's Lullaby》という題名がついています。
《子供の領分》は、ドビュッシーの唯一人の愛娘クロード=エンマ
(愛称シューシュー 1905年10月30日生まれ)に捧げられた作品です。
(初版の表紙)
そんな作品には、彼女(作品が完成した1908年当時まだ若干3歳)の
生活にまつわる事象が、音楽としても反映されているようです。
例えば、
この2曲目の題名にある《Jimbo》とは、
シューシューの持っていた象の縫いぐるみについていた名前だったとか。
この曲名「Jimbo」についての解説を、
楽譜『ドビュッシー全集』より以下に抜粋してみます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《子供の領分》における英語の表題は、
明らかにシュウシュウのイギリス人の子守に対する
ひやかし半分の敬意のしるしである ―
彼女はピアノのための原典版中の「ジンボー(Jimbo)」という
奇妙な綴りが、英語のフランス式発音の最も近似的なものであることを、
多分見抜いていた[訳注:英語で正確には「Jumbo(ジャンボー)」と
書くべきところを、ドビュッシーはこの発音をフランス語式に
「Jimbo」と表記した。従ってこれはフランス語式発音では
やはり「ジャンボー」だが、英語では「ジンボー」となる。
日本ではこれまで「ジンボー」と表記されてきた。なお日本で
「Jimbo's Lullaby」が「象の子守歌」と訳されることがあるのは、
ジャンボーが象の縫いぐるみであるためだが、
象にジャンボーという名前が付いているのは、
19世紀末にアメリカのあるサーカス団が購入した
巨大なアフリカ象の名前に由来するのではないかと思われる]。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
実は、別件《前奏曲 第2集》の6曲目
《風変わりなラヴィーヌ将軍》について調べていたところ、
このサーカス団とは、アメリカ・ニューヨーク発祥のサーカス団
「ヴォードヴィルVaudeville」であろうことが分かりました。
ヴォードヴィルでは、あの有名な喜劇王と呼ばれる
チャーリー・チャップリンも出演していたことがあったそうで、
こう考えると、ちょっと身近に感じられるようでしょうか!?
おそらくは、本土アメリカを離れて
フランスのパリに興行に来ていたヴォードヴィルを
ドビュッシーが観ていたのでしょう。
このヴォードヴィルVaudevilleを
インターネットで検索してみたところ・・・
なんと!!すごい世の中になったもので、
おそらくは当時の状況をそのまま伝える白黒の動画を
色々と見ることができるのですね!!
そして、更なる驚きがありました・・・
ドビュッシー作曲《象の子守歌》のモデルとなった象
Jumboの動画を見つけることが出来たのです!!
動画の始まり、ほんの一瞬のことなのですが、
気をつけて動画を停止させてみると、
時間にすると「0:07」のところ、確かに、
「Jumbo - The Trained Elephant」と書き出されており、
この象の名前が「Jumbo」であることは、確かといえるでしょう。
動画の撮影時期は、1898~1910年とのこと。
ゆえに、
1908年にドビュッシーによって作曲された《子供の領分》と、
時期はぴったりと一致します。
ドビュッシーが、この象のJumboを見ていた・・・
もしかすると愛娘シューシューとともに見ていたかも!?
それを、今、パソコン上で、我々の目の前で見ることが出来るというのは、
なんとも不思議な気がしませんでしょうか・・・!?
なお、
動画を見る限りでは、象の耳が小さいゆえに、
この象は『ドビュッシー全集』の解説にある「アフリカ象」ではなく、
「インド象」であると判断できるのだそうです。
さらに、音楽的に解釈してみても、
この楽曲《Jimboの子守歌》は、
ペンタトニック(5音階)がふんだんに使用されていて、
これは東洋的な雰囲気を彷彿とさせる音楽的効果があります。
ゆえに、
音楽的にもアフリカ象ではなく、遠い東のアジアの国からやってきた
インド象をドビュッシーが思い描いていたと、
推察することができるでしょうか。
また、動画の時間「3:58」のところでも、再び一瞬のことなのですが、
「Oh!how she dances.」
という文章が流れ、ゆえにこの象がメスであることも分かります。
ドビュッシーの楽曲《Jimboの子守歌》が、
母としての象を想定していたことも定まってきましょうか。
もちろん、
愛娘シューシューの手の内にある縫いぐるみの象「Jimbo」として、
母象が歌ってくれる子守歌に、
いい夢を見ながら(いや時にはちょっと恐い夢!?
なぜなら中間部の全音階の音楽は怪しげな雰囲気・・・)
幼子がスヤスヤと、安らかにねむってくれることを願う
ドビュッシーの心が感じられては
きませんでしょうか?
♪
《象(ジャンボー)の子守歌Jimbo's Lullaby》という題名がついています。
《子供の領分》は、ドビュッシーの唯一人の愛娘クロード=エンマ
(愛称シューシュー 1905年10月30日生まれ)に捧げられた作品です。
(初版の表紙)
そんな作品には、彼女(作品が完成した1908年当時まだ若干3歳)の
生活にまつわる事象が、音楽としても反映されているようです。
例えば、
この2曲目の題名にある《Jimbo》とは、
シューシューの持っていた象の縫いぐるみについていた名前だったとか。
この曲名「Jimbo」についての解説を、
楽譜『ドビュッシー全集』より以下に抜粋してみます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《子供の領分》における英語の表題は、
明らかにシュウシュウのイギリス人の子守に対する
ひやかし半分の敬意のしるしである ―
彼女はピアノのための原典版中の「ジンボー(Jimbo)」という
奇妙な綴りが、英語のフランス式発音の最も近似的なものであることを、
多分見抜いていた[訳注:英語で正確には「Jumbo(ジャンボー)」と
書くべきところを、ドビュッシーはこの発音をフランス語式に
「Jimbo」と表記した。従ってこれはフランス語式発音では
やはり「ジャンボー」だが、英語では「ジンボー」となる。
日本ではこれまで「ジンボー」と表記されてきた。なお日本で
「Jimbo's Lullaby」が「象の子守歌」と訳されることがあるのは、
ジャンボーが象の縫いぐるみであるためだが、
象にジャンボーという名前が付いているのは、
19世紀末にアメリカのあるサーカス団が購入した
巨大なアフリカ象の名前に由来するのではないかと思われる]。
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実は、別件《前奏曲 第2集》の6曲目
《風変わりなラヴィーヌ将軍》について調べていたところ、
このサーカス団とは、アメリカ・ニューヨーク発祥のサーカス団
「ヴォードヴィルVaudeville」であろうことが分かりました。
ヴォードヴィルでは、あの有名な喜劇王と呼ばれる
チャーリー・チャップリンも出演していたことがあったそうで、
こう考えると、ちょっと身近に感じられるようでしょうか!?
おそらくは、本土アメリカを離れて
フランスのパリに興行に来ていたヴォードヴィルを
ドビュッシーが観ていたのでしょう。
このヴォードヴィルVaudevilleを
インターネットで検索してみたところ・・・
なんと!!すごい世の中になったもので、
おそらくは当時の状況をそのまま伝える白黒の動画を
色々と見ることができるのですね!!
そして、更なる驚きがありました・・・
ドビュッシー作曲《象の子守歌》のモデルとなった象
Jumboの動画を見つけることが出来たのです!!
動画の始まり、ほんの一瞬のことなのですが、
気をつけて動画を停止させてみると、
時間にすると「0:07」のところ、確かに、
「Jumbo - The Trained Elephant」と書き出されており、
この象の名前が「Jumbo」であることは、確かといえるでしょう。
動画の撮影時期は、1898~1910年とのこと。
ゆえに、
1908年にドビュッシーによって作曲された《子供の領分》と、
時期はぴったりと一致します。
ドビュッシーが、この象のJumboを見ていた・・・
もしかすると愛娘シューシューとともに見ていたかも!?
それを、今、パソコン上で、我々の目の前で見ることが出来るというのは、
なんとも不思議な気がしませんでしょうか・・・!?
なお、
動画を見る限りでは、象の耳が小さいゆえに、
この象は『ドビュッシー全集』の解説にある「アフリカ象」ではなく、
「インド象」であると判断できるのだそうです。
さらに、音楽的に解釈してみても、
この楽曲《Jimboの子守歌》は、
ペンタトニック(5音階)がふんだんに使用されていて、
これは東洋的な雰囲気を彷彿とさせる音楽的効果があります。
ゆえに、
音楽的にもアフリカ象ではなく、遠い東のアジアの国からやってきた
インド象をドビュッシーが思い描いていたと、
推察することができるでしょうか。
また、動画の時間「3:58」のところでも、再び一瞬のことなのですが、
「Oh!how she dances.」
という文章が流れ、ゆえにこの象がメスであることも分かります。
ドビュッシーの楽曲《Jimboの子守歌》が、
母としての象を想定していたことも定まってきましょうか。
もちろん、
愛娘シューシューの手の内にある縫いぐるみの象「Jimbo」として、
母象が歌ってくれる子守歌に、
いい夢を見ながら(いや時にはちょっと恐い夢!?
なぜなら中間部の全音階の音楽は怪しげな雰囲気・・・)
幼子がスヤスヤと、安らかにねむってくれることを願う
ドビュッシーの心が感じられては
きませんでしょうか?
♪