脱走つながりで、蕎麦屋の主人より「第十七捕虜収容
所」を借りる。
かなり昔に見た記憶がある。
ウィリアム.ホールデンが出ていたことは覚えていた
が、内容は完全に忘れていた。
結構面白かった、と当時思ったことは記憶しているの
だが。
で、改めてみると、監督はビリー.ワイルダーだった。
特別、関心のある監督ではないが、名匠と呼ばれる監
督の一人ではあるだろう。
今回の「第十七捕虜収容所」も、よく出来ていて結構
面白かったというか、ワイルダーのなかでは一番面白
いかもしれない(個人的には)。
しかし、今回これを見るにあたって、一つ余計な話を
してしまった。
例によって、ケースの出演者を見て、「ああ、ピーター.
グレイプスが出てるんだ」と言うと主人が、「どれどれ」
というので、写真を指差し「テレビのおはようフェルプ
ス君の本人だよ」と言った。
すると主人は「ああこれ、ドイツのスパイだよ」と言
う。
映画の中では、収容所の中のドイツのスパイが重要な
役柄なのだが、これで始めからスパイが誰だか分かっ
た状態で見る羽目になった。
推理小説で、犯人が誰だか最初から分かった状態で読
むのと同じ状況というわけだ。
所謂、ねたばれ状態。
まあ、分かってもそれなりに楽しめたから良いか。
そんな脱走モードで、久しぶりに秘蔵のヴィデオ、ブレッ
ソンの「抵抗」を見たいと思った。
これも一応脱走(脱獄)もの。
ベッケルの「穴」とよく比較される。
フランスのレジスタンスの話で、実話が元になってい
るという。
白黒の、緊張感が充溢しているブレッソンらしい映像
を久しぶりに見たが、つくづく異質な映画だ。
出演者は全員素人。
娯楽性というものを排除したブレッソンの世界は、見
るものを、映画の原点に連れ戻す。
会話も少なく、画面も暗く、一体何が面白いというの
か(今回途中で寝てしまった)、と素朴な疑問を感じ
る典型的な映画なのだが、どうしようもなく魅力的な
のだ。
ブレッソンでしか味わえない世界が、そこにあるのだ。
というわけで、見たいと言った蕎麦屋の主人の、見て
の感想は如何に。
興味があるところだ。