それにしても不思議なのは、昨日のレーザーディスク
コレクターのラインナップだ。
他人の映画や、本でもそうだが、その品揃えを見ると、
当人が、どういうものに興味があるのか、或いはどう
いった傾向があるのかがよく解る。
しかし、このレーザーディスクコレクターのは、あま
りに脈絡が無く、今ひとつつかみ所が無い感じなのだ。
目に付いたところでは、まずトリュフォー。
これが六七枚。
これだけだったら、ああ結構本格派の映画好きか、と
思う。
更に、ゴダールが同じくらいあれば、確信に変わると
ころだが、あることにはあるが「勝手にしやがれ」と
「気狂いピエロ」の二つだけ。
この二本だけとなると、当時の知的流行としての「ゴダ
ールは押さえとくか」の類かもしれない、と疑念がわ
く。
しかし、フランス映画を中心に、というものだったら
それはそれで整合性はある。
事実、もっと古い「モンパルナスの灯り」などの、オー
ソドックスな「名画」も数多くある。
が、この後が問題だ。
「トムとジェリー」などの懐かし漫画シリーズ。
子供の心を忘れない、ってことか。
しかし、わざわざ買うか。
日本映画では小津安二郎が五六枚。
渋い「東京暮色」まで入っている。
トリュフォー好きだったら、真に納得だし、なかなか
の映画好きと感心するのだが、これに続くのが五社英
雄の「陽暉楼」。
これは、ちょっとだろう。
結局、個人的にはちょっと、と思うものが七割ほどで、
一番多い。
しかし、本当に驚いたのは、次に挙げるものを発見し
たとき。
パゾリーニの「ソドムの市」「アラビアンナイト「カ
ンタベリー物語」。
ホドロフスキーの「エルトポ」「ホーリーマウンテン」。
そして、デレクジャーマンの「カルヴァッジオ」。
完全にカルト系ではないか(エルトポはマイコレクシ
ョンにもあるのだが)。
この手の映画好きは、一般的には徹底しているものだ。
間違っても五社英雄は入らないと思うのだが。
まあ斯様に、こんなコレクターは初めて見た、という
根本的に他人がとやかく言うことではない、話でした。