ぼくはこんな本を読んできた 立花式読書論、読書術、書斎論, 立花隆, 文春文庫 た-5-8, 1999年
・著者の『本』に関する講演録や小文の寄せ集め。さすがに読書にかける情熱はハンパじゃありません。まだ50代というイメージでしたが今年で66歳、ともう結構なお年なのですね。
・「私の読書日記」では、おそらく百冊以上の本が紹介されているが、重なったのは『完全自殺マニュアル』と『トンデモ本の世界』のみで、他はかすりもしない。改めて本の世界の広さを実感する。
・「だいたいどんなジャンルでも、専門家というのは、インタビュアーがする質問によって、その問題に関してその人がどれだけの基礎知識を持っているかということをすぐに見抜きます。」p.15
・「ですから、客観的に見ると、ものすごく大変な生活で、自分自身こりゃ大変だと思うこともあるんですが、本心を言うと、実はそれほど大変じゃない。」p.20
・「インプットとアウトプットの比率は、少なくとも百対一くらいになると思います。」p.22
・「つまり、われわれ人類は、目の前の利益というのは何もないかもしれないけれども、とにかくあっちがどうなっているのか知りたい、行ってみたい、そういう基本的な欲求にしたがってサバンナへ出ていった猿の子孫なわけです。」p.28
・「人間のもつ「知的欲求」の根本にあるのは、実はアメーバですら持っている、周囲の環境を知りたいという欲求なわけです。」p.30
・「知識を分有することによってこの文明社会は何とかここまで維持発展されてきたのですが、その知識総量が多くなればなるほど、各人の分有する知識の幅は狭いものにならざるを得ません。」p.33
・「人間の精神、そして行動というのは、非常に大ざっぱな言い方をすると、このオートマトンの部分と、自動化されていない意識化された行動の部分と、二つの部分からなっているということが言えます。」p.36
・「人間の精神、人格というのは、ある意味で、その人の過去の記憶の総体によって作られているともいえるわけです。」p.38
・「その上で読書について話そうと思うのですが、まず読書を二つの種類に分けた方がいいのではないかと思います。 一つは読書それ自体が目的である読書、もう一つは読書が何らかの手段である読書という風に分けてみたいと思います。」p.44
・「文学離れの理由は簡単でして、要するに文学を読むことが面白くなくなったというにつきます。」p.46
・「要するに古典的な大学教養人が読書対象としてあげるような本以外の本は下らない本だという意識を、若いときは非常に強く持っていたんですけれども、読んでみると、ノンフィクションも大変面白いわけです。」p.46
・「びっくりするような古典の拡大が行われるわけですけれども、私は十九世紀文学というのは、はたして本当に人類にとって古典たりうるのかどうかという検証がまだ終わっていないというふうに考えた方が正しいのではないかと思います。」p.53
・「一人一人が現在の人類の知の総体がどういう方向にいま発展しつつあるかということに広く関心を持つことこそが、現代における最も有意義な読書活動ではないか」p.62
・「大学教育を受けた人ならたいてい覚えがあるはずだが、授業で得た知識より、自分で本を読んで得た知識のほうがはるかに大きいものだ。(中略)ある程度の方法論さえ身につけてしまえば、たいていの学問は独学可能である。」p.66
・「本は粗末に扱ったほうが役に立つ。後で古本屋に売るときのためにきれいにしておこうなどとケチなことは考えないほうがよい。」p.80
・「大学で得た知識など、いかほどのものでもない。社会人になってから獲得し、蓄積していく知識の量と質、特に、20代、30代のそれが、その人のその後の人生にとって決定的に重要である。若いときは、何をさしおいても本を読む時間をつくれ。」p.85
・「私の好みの書斎の条件は、①外界から隔絶された、②狭い、③機能的に構成された、空間である。」p.90
・「8段の書架が28箇分である。それに本が全部つまった場合、書架本体の重量と合わせて、正確な数字は覚えていないが、軽く10トンは越えるという計算になった。」p.94
・「総計70書架分余が手持ちの書物の総計ということになる。」p.95
・通称『ネコビル』[写真(画・妹尾河童)]について「本を置くことが主目的だから、とにかく頑丈に作った。施工業者が、こんな頑丈なビルは作ったことがないというほど頑丈に作った。」p.105
・「――ご自分でも詩を書いたりなさってたんですか。
立花 書いてました。その内のひとつを池辺晋一郎という作曲家が――ぼくと同郷で、子供の頃からよく知ってるんだけど――曲をつけてくれた。」p.129
・「読まないと文章って書けないからね。まず消費者にならないと、ちゃんとした生産者になれない。それと、文学を経ないで精神形成をした人は、どうしても物の見方が浅い。」p.134
・「僕は基本的に哲学的人間なんです。人間とは何か、世界とは何か、存在とは何か、いかに生きるべきか。昔からいつでもそういう哲学的な基本命題のまわりをグルグルまわりながら考えていた。」p.137
・「本というのは、はじめから終わりまで読むべき本と、必要なところだけ拾い出して読めばいい本とある。」p.156
・「――立花さんは、傍線を引いたところは全部覚えてしまうという伝説がありました。
立花 どうかな、それは(笑)。若い頃はどの本の何ページあたりに何があるというのは結構覚えてたけど。」p.157
・「一般の読書家というのは、だいたい人文系の教養書の読書家であって、科学書、技術書なんてほとんど読まないでしょう。一方、科学技術系の人は、一般教養書をほとんど読んでいない。(中略)両方の素養がある人は本当に少ないですね。」p.158
・「僕はね、若い時に人が推薦するような本を読んで、よかった記憶ってないんです。」p.169
・著者の中学3年時の作文『私の読書を顧みる』の書き出し 「僕は以前から、といっても生れた時からではないが、読書が好きだった。勿論いまも好きだ。」p.171
・中学3年生の感想 「ノーベル文学賞候補という、「蓼食う虫」には「これがねえ」と思った程だ。それ程とは思えなかった。」p.177
・「ぼくはより多く見るために、より少く見ようと決心した。」p.184
・以下、週刊文春に連載された「私の読書日記」より。
・「自国の文化遺産(春画)を外国に行かないとコピーですら見られないというのは、やはり恥ずかしいことなのではないか。」p.211
・「本書はこの定説に疑いを投げ、それらの炭化水素(化石燃料)は、生物起源ではなく、宇宙起源であり、地球誕生以来、地球の深層に閉じ込められているものではないかと説く。」p.212
・「原始的な生物とちがって、哺乳類は進化速度が速く、一つの属が生まれて滅亡するまでの平均寿命は八百万年だという。」p.230
・「グールドの天才ぶりを示すエピソードは無数にあるが、グールドはどんな曲でも初見で弾けたし、初見で暗譜してしまったという。彼の頭の中にはあらゆるピアノ曲ばかりか、たいていの管弦楽曲やオペラのスコアも入っており、オペラの全部のパートをピアノを弾きながら歌うことができた。しかも、暗譜するのに精神集中はいらなかった。人としゃべりながらでも覚えられたし、FMラジオで音楽を、AMラジオでニュースを同時に聞きながらシェーンベルクの作品のスコアを覚えてしまったこともあるという。」p.231
・「書物に関しては、こんな言葉もある。 「これほど良書が少ない理由は、本を書く人間がろくろく物をしらないからだ」(ウォルター・バジョット) 全く同感である。」p.235
・「たしかに現代宇宙論には、この著者が指摘するように、怪しげな部分がかなりある。しかし、アカデミズムにおいては、依然としてビッグバン理論が主流である。」p.238
・「私は、朝日ジャーナルが好きだったので、それをつぶした人間に怒りをおぼえていた。私が見るところ、どう考えても朝日ジャーナルをつぶしたのは、下村満子編集長である。彼女の編集長としての能力の欠如があの雑誌をつぶしたのである。」p.243
・「三つ子、四つ子という多胎児は困るというので、妊婦の腹部に針を刺し、一人か二人の胎児に塩化カリウムを注入して殺す"減数手術"なるものが行われている。重度の奇形児が生れると、生きたまま氷漬けにしてしまって、"死産"ということにすることなど驚くべき事実が紹介されている。」p.267
・「最近評判の鶴見済『完全自殺マニュアル』(太田出版)を読んでみた。どうせ水準の低いハウツー本だろうと思っていたのだが、なかなかどうして、これが面白いのである。実によく調べて、各種の自殺法を懇切丁寧に図解入りで書いている。内容は科学的で、信頼性が高い。(中略)説教じみたところが皆無で、淡々と無感情に書いているところがいい。」p.279 これまで読んだ本のなかでは衝撃度No.1。
・「日本では、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」を聞く人は沢山いても、それがティルソ・デ・モリーナの「セビーリャの色事師と石の招客」をもとにして作られたものであることを知る人は少ないだろう。」p.283
・「おならにまつわる話を集めただけなのだが、想像を絶するようなエピソードが沢山ある。1978年には、デンマークで、腹部の手術を受けていた患者の結腸にたまっていたおならが、電気メスの熱で大爆発し、敗血症で死んでしまったという。」p.286
・「しかしムーディ博士は、セッティングに工夫をこらせば、ほとんど誰でも鏡の中に幻像、それも死んだ人の幻像を見ることができるようになることを発見して、通算300人以上の被験者にそれを体験させたのである。」p.317
・「世の中には頭がおかしいとしか思えない人が沢山いて、信じられないほどバカバカしい内容の本を堂々と出版している。頭がおかしい人にも言論の自由はあるから、それはそれでいいのだが、世の中にはまた頭が弱い人が沢山いて、そういう本を大真面目に信じこんでしまうから困ってしまうのである。 と学会・編『トンデモ本の世界』(洋泉社)は、そういうバカゲた本をまとめてあげつらった本である。」p.344
・「たとえば、移植用の臓器売買は、先進国では禁止されている国が多いが、インド、アフリカ、中南米、東ヨーロッパなどでは認められている。(中略)パキスタンでは、腎臓病患者が、最高4300ドルの買い値で「求腎」広告を出すことが許されている。」p.349
・「いまでは十字架というと、キリスト教のシンボルとみな思いこんでいるが、三世紀までは十字架は異教徒のシンボルで、キリスト教会からは排斥されていた。」p.359
?こうかん【浩瀚】 広大なさま。特に、書物などの量の多いさま。また、書物が大部であるさま。「浩瀚なる史書」
?しょうやく【抄訳】 原文を一部分省略して翻訳すること。また、その訳文。⇔完訳
?こけい【孤閨】 女性、特に人妻のひとり寝の部屋。転じて、夫が長い間家に居ないで、妻が家を守る状態にあること。「孤閨を守る」
?アンピュティ(英amputee) 切断手術を受けた人。
チェック本
・服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記』中公新書
・チェリー・ガラード 『世界最悪の旅』中公文庫
・荒俣宏『本の愛し方人生の癒し方 ブックライフ自由自在』集英社文庫
・浜田幸一『新版 日本をダメにした九人の政治家』講談社文庫
・著者の『本』に関する講演録や小文の寄せ集め。さすがに読書にかける情熱はハンパじゃありません。まだ50代というイメージでしたが今年で66歳、ともう結構なお年なのですね。
・「私の読書日記」では、おそらく百冊以上の本が紹介されているが、重なったのは『完全自殺マニュアル』と『トンデモ本の世界』のみで、他はかすりもしない。改めて本の世界の広さを実感する。
・「だいたいどんなジャンルでも、専門家というのは、インタビュアーがする質問によって、その問題に関してその人がどれだけの基礎知識を持っているかということをすぐに見抜きます。」p.15
・「ですから、客観的に見ると、ものすごく大変な生活で、自分自身こりゃ大変だと思うこともあるんですが、本心を言うと、実はそれほど大変じゃない。」p.20
・「インプットとアウトプットの比率は、少なくとも百対一くらいになると思います。」p.22
・「つまり、われわれ人類は、目の前の利益というのは何もないかもしれないけれども、とにかくあっちがどうなっているのか知りたい、行ってみたい、そういう基本的な欲求にしたがってサバンナへ出ていった猿の子孫なわけです。」p.28
・「人間のもつ「知的欲求」の根本にあるのは、実はアメーバですら持っている、周囲の環境を知りたいという欲求なわけです。」p.30
・「知識を分有することによってこの文明社会は何とかここまで維持発展されてきたのですが、その知識総量が多くなればなるほど、各人の分有する知識の幅は狭いものにならざるを得ません。」p.33
・「人間の精神、そして行動というのは、非常に大ざっぱな言い方をすると、このオートマトンの部分と、自動化されていない意識化された行動の部分と、二つの部分からなっているということが言えます。」p.36
・「人間の精神、人格というのは、ある意味で、その人の過去の記憶の総体によって作られているともいえるわけです。」p.38
・「その上で読書について話そうと思うのですが、まず読書を二つの種類に分けた方がいいのではないかと思います。 一つは読書それ自体が目的である読書、もう一つは読書が何らかの手段である読書という風に分けてみたいと思います。」p.44
・「文学離れの理由は簡単でして、要するに文学を読むことが面白くなくなったというにつきます。」p.46
・「要するに古典的な大学教養人が読書対象としてあげるような本以外の本は下らない本だという意識を、若いときは非常に強く持っていたんですけれども、読んでみると、ノンフィクションも大変面白いわけです。」p.46
・「びっくりするような古典の拡大が行われるわけですけれども、私は十九世紀文学というのは、はたして本当に人類にとって古典たりうるのかどうかという検証がまだ終わっていないというふうに考えた方が正しいのではないかと思います。」p.53
・「一人一人が現在の人類の知の総体がどういう方向にいま発展しつつあるかということに広く関心を持つことこそが、現代における最も有意義な読書活動ではないか」p.62
・「大学教育を受けた人ならたいてい覚えがあるはずだが、授業で得た知識より、自分で本を読んで得た知識のほうがはるかに大きいものだ。(中略)ある程度の方法論さえ身につけてしまえば、たいていの学問は独学可能である。」p.66
・「本は粗末に扱ったほうが役に立つ。後で古本屋に売るときのためにきれいにしておこうなどとケチなことは考えないほうがよい。」p.80
・「大学で得た知識など、いかほどのものでもない。社会人になってから獲得し、蓄積していく知識の量と質、特に、20代、30代のそれが、その人のその後の人生にとって決定的に重要である。若いときは、何をさしおいても本を読む時間をつくれ。」p.85
・「私の好みの書斎の条件は、①外界から隔絶された、②狭い、③機能的に構成された、空間である。」p.90
・「8段の書架が28箇分である。それに本が全部つまった場合、書架本体の重量と合わせて、正確な数字は覚えていないが、軽く10トンは越えるという計算になった。」p.94
・「総計70書架分余が手持ちの書物の総計ということになる。」p.95
・通称『ネコビル』[写真(画・妹尾河童)]について「本を置くことが主目的だから、とにかく頑丈に作った。施工業者が、こんな頑丈なビルは作ったことがないというほど頑丈に作った。」p.105
・「――ご自分でも詩を書いたりなさってたんですか。
立花 書いてました。その内のひとつを池辺晋一郎という作曲家が――ぼくと同郷で、子供の頃からよく知ってるんだけど――曲をつけてくれた。」p.129
・「読まないと文章って書けないからね。まず消費者にならないと、ちゃんとした生産者になれない。それと、文学を経ないで精神形成をした人は、どうしても物の見方が浅い。」p.134
・「僕は基本的に哲学的人間なんです。人間とは何か、世界とは何か、存在とは何か、いかに生きるべきか。昔からいつでもそういう哲学的な基本命題のまわりをグルグルまわりながら考えていた。」p.137
・「本というのは、はじめから終わりまで読むべき本と、必要なところだけ拾い出して読めばいい本とある。」p.156
・「――立花さんは、傍線を引いたところは全部覚えてしまうという伝説がありました。
立花 どうかな、それは(笑)。若い頃はどの本の何ページあたりに何があるというのは結構覚えてたけど。」p.157
・「一般の読書家というのは、だいたい人文系の教養書の読書家であって、科学書、技術書なんてほとんど読まないでしょう。一方、科学技術系の人は、一般教養書をほとんど読んでいない。(中略)両方の素養がある人は本当に少ないですね。」p.158
・「僕はね、若い時に人が推薦するような本を読んで、よかった記憶ってないんです。」p.169
・著者の中学3年時の作文『私の読書を顧みる』の書き出し 「僕は以前から、といっても生れた時からではないが、読書が好きだった。勿論いまも好きだ。」p.171
・中学3年生の感想 「ノーベル文学賞候補という、「蓼食う虫」には「これがねえ」と思った程だ。それ程とは思えなかった。」p.177
・「ぼくはより多く見るために、より少く見ようと決心した。」p.184
・以下、週刊文春に連載された「私の読書日記」より。
・「自国の文化遺産(春画)を外国に行かないとコピーですら見られないというのは、やはり恥ずかしいことなのではないか。」p.211
・「本書はこの定説に疑いを投げ、それらの炭化水素(化石燃料)は、生物起源ではなく、宇宙起源であり、地球誕生以来、地球の深層に閉じ込められているものではないかと説く。」p.212
・「原始的な生物とちがって、哺乳類は進化速度が速く、一つの属が生まれて滅亡するまでの平均寿命は八百万年だという。」p.230
・「グールドの天才ぶりを示すエピソードは無数にあるが、グールドはどんな曲でも初見で弾けたし、初見で暗譜してしまったという。彼の頭の中にはあらゆるピアノ曲ばかりか、たいていの管弦楽曲やオペラのスコアも入っており、オペラの全部のパートをピアノを弾きながら歌うことができた。しかも、暗譜するのに精神集中はいらなかった。人としゃべりながらでも覚えられたし、FMラジオで音楽を、AMラジオでニュースを同時に聞きながらシェーンベルクの作品のスコアを覚えてしまったこともあるという。」p.231
・「書物に関しては、こんな言葉もある。 「これほど良書が少ない理由は、本を書く人間がろくろく物をしらないからだ」(ウォルター・バジョット) 全く同感である。」p.235
・「たしかに現代宇宙論には、この著者が指摘するように、怪しげな部分がかなりある。しかし、アカデミズムにおいては、依然としてビッグバン理論が主流である。」p.238
・「私は、朝日ジャーナルが好きだったので、それをつぶした人間に怒りをおぼえていた。私が見るところ、どう考えても朝日ジャーナルをつぶしたのは、下村満子編集長である。彼女の編集長としての能力の欠如があの雑誌をつぶしたのである。」p.243
・「三つ子、四つ子という多胎児は困るというので、妊婦の腹部に針を刺し、一人か二人の胎児に塩化カリウムを注入して殺す"減数手術"なるものが行われている。重度の奇形児が生れると、生きたまま氷漬けにしてしまって、"死産"ということにすることなど驚くべき事実が紹介されている。」p.267
・「最近評判の鶴見済『完全自殺マニュアル』(太田出版)を読んでみた。どうせ水準の低いハウツー本だろうと思っていたのだが、なかなかどうして、これが面白いのである。実によく調べて、各種の自殺法を懇切丁寧に図解入りで書いている。内容は科学的で、信頼性が高い。(中略)説教じみたところが皆無で、淡々と無感情に書いているところがいい。」p.279 これまで読んだ本のなかでは衝撃度No.1。
・「日本では、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」を聞く人は沢山いても、それがティルソ・デ・モリーナの「セビーリャの色事師と石の招客」をもとにして作られたものであることを知る人は少ないだろう。」p.283
・「おならにまつわる話を集めただけなのだが、想像を絶するようなエピソードが沢山ある。1978年には、デンマークで、腹部の手術を受けていた患者の結腸にたまっていたおならが、電気メスの熱で大爆発し、敗血症で死んでしまったという。」p.286
・「しかしムーディ博士は、セッティングに工夫をこらせば、ほとんど誰でも鏡の中に幻像、それも死んだ人の幻像を見ることができるようになることを発見して、通算300人以上の被験者にそれを体験させたのである。」p.317
・「世の中には頭がおかしいとしか思えない人が沢山いて、信じられないほどバカバカしい内容の本を堂々と出版している。頭がおかしい人にも言論の自由はあるから、それはそれでいいのだが、世の中にはまた頭が弱い人が沢山いて、そういう本を大真面目に信じこんでしまうから困ってしまうのである。 と学会・編『トンデモ本の世界』(洋泉社)は、そういうバカゲた本をまとめてあげつらった本である。」p.344
・「たとえば、移植用の臓器売買は、先進国では禁止されている国が多いが、インド、アフリカ、中南米、東ヨーロッパなどでは認められている。(中略)パキスタンでは、腎臓病患者が、最高4300ドルの買い値で「求腎」広告を出すことが許されている。」p.349
・「いまでは十字架というと、キリスト教のシンボルとみな思いこんでいるが、三世紀までは十字架は異教徒のシンボルで、キリスト教会からは排斥されていた。」p.359
?こうかん【浩瀚】 広大なさま。特に、書物などの量の多いさま。また、書物が大部であるさま。「浩瀚なる史書」
?しょうやく【抄訳】 原文を一部分省略して翻訳すること。また、その訳文。⇔完訳
?こけい【孤閨】 女性、特に人妻のひとり寝の部屋。転じて、夫が長い間家に居ないで、妻が家を守る状態にあること。「孤閨を守る」
?アンピュティ(英amputee) 切断手術を受けた人。
チェック本
・服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記』中公新書
・チェリー・ガラード 『世界最悪の旅』中公文庫
・荒俣宏『本の愛し方人生の癒し方 ブックライフ自由自在』集英社文庫
・浜田幸一『新版 日本をダメにした九人の政治家』講談社文庫