科学・あの話題はどこにいった 世界を騒がせた30の科学・技術, 大浜一之, 講談社ブルーバックス B-1000, 1994年
・内容は題名そのまま。取り上げられた話題は、具体的には、高音超伝導、第5の力、イオンロケット、C60、マイクロマシン、ヒトゲノム、核融合、常温核融合、SSCなどなど。それらのなかで現在花開いているのはヒトゲノム関連の技術くらいでしょうか。『モノになる技術』の成功の影には、たくさんの消えていく技術があることが分かります。94年の出版時にとっては今現在の状況であるけれども、それから10年以上経った今読むと「そしてその後この話はどうなったのだろう」とまた同じことの繰り返し。
・表紙の図[写真]を見て、海の中はずい分起伏に富んでいるものだと思ったが、単に強調表示しているだけでした。深い日本海溝でもせいぜい8kmなので、実際この縮尺だと起伏はほとんど目に見えないくらいでしょう。勘違いの一歩手前。
・新聞社出身の著者のわりには、どうも文章のテンポがイマイチ。
・「ノーベル賞受賞者がよくいう言葉に「私は山の上にちょこんと石を置いたに過ぎない」というものがある。言葉を変えれば、科学・技術には、それぞれ根があり、幹があり、枝があり、葉があるのである。それが個々に切り放されて紹介されることが多い。そのため、「科学技術は難しい」、という評価につながっているのだと思われる。それで、科学・技術の周辺部分を雑学的に書き込むように心がけた。」p.7
・「地上で最も深くボーリングしたのは、旧ソ連。現在はロシアに属するが、バレンツ海に面する北極圏のコラ半島の根っ子、ムルマンスクの西方にある「コラ半島超深度ボーリング総合地質検査所」が、掘った約1万2000メートル強(目標1万4500メートル)だ。」p.104
・「日本では、1962年に東京芝浦電気(現在の東芝)が(人工ダイヤモンドの製造に)初めて成功している。」p.127 "東芝"の名の由来を初めて知った。
・「現在、マシン、つまり実際に動き、実用化できている機械で最も小さい物は時計らしい。最小の部品の大きさが約一ミリという現状では、時計より小さい機械をつくることは無理に近いからだという。」p.138
・「日本は、ワトソン博士にだいぶ脅かされて、1991年、「ヒトゲノム解析計画」に参加した。」p.151
・「「石油はあと30年分しかストックがない」という話を、一度は聞いたことがあるだろう。この「あと30年」は、戦後、ずっと一貫して言われ続けてきたことだ。(中略)つまり、石油は、1989年時点では「あと46年」ということになる。時点という言葉を使ったが、もうおわかりのように、可採年数は、確認可採埋蔵量と生産量の関数だから、年々変わるものだ。」p.154
・「石油は液体だから、大きな空洞にジャブジャブと溜まっているような印象である。ところが違うのである。実際の石油鉱床は、砂岩でできている貯留岩そのものである。石油はその砂岩砂粒間の孔隙間に水とともに圧入されているのである。」p.159
・「最後に石油の成因。成因には、無機成因説と有機成因説の二つあって、まだ完全に決着がついていない。」p.161
・「MHD(電磁流体力学)発電は、フレミングの右手の法則による物理的発電と、高温ガスを使った熱を利用した気水発電との組み合わせで、発電効率を高める、省エネ発電であるとされる。」p.171
・「「高温ガス炉」とは、原子炉で1000℃前後の高温をつくり、発電だけでなく、水から水素を分離するなど多目的に使おうという炉である。原子炉だから、二酸化炭素に関しては放出しなくてもすむ。」p.185
・「そのために、考え出されたのが「高速増殖炉」で、Fast Breeder Reactorの頭文字からFBRとよばれることもある原子炉である。この高速増殖炉は、プルトニウム239を燃料とし、そのまわりをウラン238(ブランケット材という)で取り囲んだものを炉の中で反応させるものである。つまり、プルトニウムは燃料として使われるが、ウラン238が変化して、使った分以上のプルトニウム239ができる(つまり増殖する)というものである。」p.193
・「SSCは陽子電子の、陽子の集団を円形真空リング(直径5センチ)の中で、磁力を使って上部と下部でそれぞれ反対方向に加速し、予定の速さになったところで、周回軌道を合わせて衝突させ、どのようなことが起こるか(相互作用)を見ようというものだ。」p.227
・内容は題名そのまま。取り上げられた話題は、具体的には、高音超伝導、第5の力、イオンロケット、C60、マイクロマシン、ヒトゲノム、核融合、常温核融合、SSCなどなど。それらのなかで現在花開いているのはヒトゲノム関連の技術くらいでしょうか。『モノになる技術』の成功の影には、たくさんの消えていく技術があることが分かります。94年の出版時にとっては今現在の状況であるけれども、それから10年以上経った今読むと「そしてその後この話はどうなったのだろう」とまた同じことの繰り返し。
・表紙の図[写真]を見て、海の中はずい分起伏に富んでいるものだと思ったが、単に強調表示しているだけでした。深い日本海溝でもせいぜい8kmなので、実際この縮尺だと起伏はほとんど目に見えないくらいでしょう。勘違いの一歩手前。
・新聞社出身の著者のわりには、どうも文章のテンポがイマイチ。
・「ノーベル賞受賞者がよくいう言葉に「私は山の上にちょこんと石を置いたに過ぎない」というものがある。言葉を変えれば、科学・技術には、それぞれ根があり、幹があり、枝があり、葉があるのである。それが個々に切り放されて紹介されることが多い。そのため、「科学技術は難しい」、という評価につながっているのだと思われる。それで、科学・技術の周辺部分を雑学的に書き込むように心がけた。」p.7
・「地上で最も深くボーリングしたのは、旧ソ連。現在はロシアに属するが、バレンツ海に面する北極圏のコラ半島の根っ子、ムルマンスクの西方にある「コラ半島超深度ボーリング総合地質検査所」が、掘った約1万2000メートル強(目標1万4500メートル)だ。」p.104
・「日本では、1962年に東京芝浦電気(現在の東芝)が(人工ダイヤモンドの製造に)初めて成功している。」p.127 "東芝"の名の由来を初めて知った。
・「現在、マシン、つまり実際に動き、実用化できている機械で最も小さい物は時計らしい。最小の部品の大きさが約一ミリという現状では、時計より小さい機械をつくることは無理に近いからだという。」p.138
・「日本は、ワトソン博士にだいぶ脅かされて、1991年、「ヒトゲノム解析計画」に参加した。」p.151
・「「石油はあと30年分しかストックがない」という話を、一度は聞いたことがあるだろう。この「あと30年」は、戦後、ずっと一貫して言われ続けてきたことだ。(中略)つまり、石油は、1989年時点では「あと46年」ということになる。時点という言葉を使ったが、もうおわかりのように、可採年数は、確認可採埋蔵量と生産量の関数だから、年々変わるものだ。」p.154
・「石油は液体だから、大きな空洞にジャブジャブと溜まっているような印象である。ところが違うのである。実際の石油鉱床は、砂岩でできている貯留岩そのものである。石油はその砂岩砂粒間の孔隙間に水とともに圧入されているのである。」p.159
・「最後に石油の成因。成因には、無機成因説と有機成因説の二つあって、まだ完全に決着がついていない。」p.161
・「MHD(電磁流体力学)発電は、フレミングの右手の法則による物理的発電と、高温ガスを使った熱を利用した気水発電との組み合わせで、発電効率を高める、省エネ発電であるとされる。」p.171
・「「高温ガス炉」とは、原子炉で1000℃前後の高温をつくり、発電だけでなく、水から水素を分離するなど多目的に使おうという炉である。原子炉だから、二酸化炭素に関しては放出しなくてもすむ。」p.185
・「そのために、考え出されたのが「高速増殖炉」で、Fast Breeder Reactorの頭文字からFBRとよばれることもある原子炉である。この高速増殖炉は、プルトニウム239を燃料とし、そのまわりをウラン238(ブランケット材という)で取り囲んだものを炉の中で反応させるものである。つまり、プルトニウムは燃料として使われるが、ウラン238が変化して、使った分以上のプルトニウム239ができる(つまり増殖する)というものである。」p.193
・「SSCは陽子電子の、陽子の集団を円形真空リング(直径5センチ)の中で、磁力を使って上部と下部でそれぞれ反対方向に加速し、予定の速さになったところで、周回軌道を合わせて衝突させ、どのようなことが起こるか(相互作用)を見ようというものだ。」p.227