40歳女性が,発熱後6日目に急性脳症と極めて難治性のてんかん重積発作を呈しました.頭部MRIでは前障(claustrum)のT2/FLAIR高信号病変, いわゆるclaustrum signを認めました(図上段).本例は新型難治性てんかんの亜型であるFebrile infection-related epilepsy syndrome(FIRES)と診断されました.聞き慣れない病名ですが,New onset refractory status epilepsy (NORSE)とほぼ同義,日本の指定難病では難治頻回部分発作重積型急性脳炎と呼ばれています.注目すべきはこの疾患がサイトカインストームによって引き起こされると考えられていることです.claustrum signは他にも,COVID-19関連脳症(図下段),急性壊死性脳症,immune effector cell-associated neurotoxicity syndromeなどのサイトカインストームに関連する疾患でも報告されています.以上よりclaustrum signはサイトカインストームによる神経炎症の特異的マーカーであること,そして前障はサイトカインに脆弱であることが示唆されます.ちなみに前障の機能はよく分かっていませんでしたが,大脳皮質の徐波活動を制御し睡眠に関与することが最近本邦から報告されています.
★ 同様の患者さんの経験がございましたら,免疫染色による自己抗体の検索等行いますので,ご相談をいただければ幸いです.
Neurology. 2022 Mar 8;98(10):e1090-e1091.
J Neurol. 2021 Jun;268(6):2031-2034.
Nature Neuroscience, 10.1038/s41593-020-0625-7
★ 同様の患者さんの経験がございましたら,免疫染色による自己抗体の検索等行いますので,ご相談をいただければ幸いです.
Neurology. 2022 Mar 8;98(10):e1090-e1091.
J Neurol. 2021 Jun;268(6):2031-2034.
Nature Neuroscience, 10.1038/s41593-020-0625-7