「東京都COVID-19重点医療機関における医師の実態調査」の第2報を日本医師会雑誌に発表いたしました.同志社大学久保真人先生,荏原病院木村百合香先生,小寺志保先生らとともに行いました.
第1報では,重点医療機関3病院に勤務する医師のバーンアウト尺度の点数が,過去の研究結果と比較して高いことを示しました.第2報では,3病院の常勤医師(313人)に対する調査のうち,自由記述欄を分析しました.その結果,記載内容は12の概念に分類され,診療科別の頻度を示したものが表になります.最も頻度が高かったものは「専門診療ができない」で33.3%,続いて「やりがいがない」が25.0%,「体制への不満」が21.9%でした.
概念を原因と結果に分けて,因果関係を調べたところ,「専門診療ができない」ことは「やりがいがない」や「退職」と結びつきが強いことが分かりました.過去の研究でも,医師のバーンアウトは離職の増加,医療過誤に直結することが知られており,理解できる結果でした.重点医療機関では目に見えない形の医療崩壊が生じていると言えます.メンタルヘルス対策に加え,専門診療に従事する機会を模索することが重要と考えられます.
久保真人,小寺志保,井石秀明,東海林裕,下畑享良,木村百合香.東京都COVID-19重点医療機関における医師の実態調査―自由記述の分析から.日医雑誌150;2021-5, 2022
第1報では,重点医療機関3病院に勤務する医師のバーンアウト尺度の点数が,過去の研究結果と比較して高いことを示しました.第2報では,3病院の常勤医師(313人)に対する調査のうち,自由記述欄を分析しました.その結果,記載内容は12の概念に分類され,診療科別の頻度を示したものが表になります.最も頻度が高かったものは「専門診療ができない」で33.3%,続いて「やりがいがない」が25.0%,「体制への不満」が21.9%でした.
概念を原因と結果に分けて,因果関係を調べたところ,「専門診療ができない」ことは「やりがいがない」や「退職」と結びつきが強いことが分かりました.過去の研究でも,医師のバーンアウトは離職の増加,医療過誤に直結することが知られており,理解できる結果でした.重点医療機関では目に見えない形の医療崩壊が生じていると言えます.メンタルヘルス対策に加え,専門診療に従事する機会を模索することが重要と考えられます.
久保真人,小寺志保,井石秀明,東海林裕,下畑享良,木村百合香.東京都COVID-19重点医療機関における医師の実態調査―自由記述の分析から.日医雑誌150;2021-5, 2022