先日ムートン=ロートシルト1991をお客様に一杯ご馳走になった。まずは、抜栓した瞬間から立ち上がる香りにワクワクさせられた。さて、グラスに注ぎその香りの芳醇さにまずは感激。味わいは、さすがに複雑さがある。喉を通過した液体は、余韻も多く残してくれる。さすがにムートンと感嘆の声は、一緒に飲んだお客様と合唱してしまった。
しかし、ワイン評論家によると、91のムートンは特別な年ではない。僕も、ムートンを色々と飲んだ経験もないが、91のムートンとしては、絶妙のタイミングで味わうことが出来たのではないかと思う。特別な年ではなくとも、上手に飲むと偉大なワインになるものだ。とても幸せな気分だった。
ムートン=ロートシルトは1855年に行われたメドックのワインの格付けで二級であることに満足できなかった。フイリップ・ロートシルト男爵は「一級にはなれないが、二級の名には甘んじられぬ、余はムートンなり」から1973年に一級に昇格すると「余は一級であり、かつては二級であった、ムートンは不変なり」とラベルに堂々と書いている。
その男爵も1988年に亡くなる。しかし、その気概はしっかりと根付いているようだ。