ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

干しブドウのワインとチーズ

2009年12月15日 | チーズの話

Photo ルキノ・ヴィスコンティ監督の名作「ヴェニスに死す」は死を直前にした老芸術家が、静養に訪れたヴェニスのホテルで美少年に出会い心を乱す。その映像には生と死、老いと若き美などの対比が描かれる芸術性の高い作品だった。
クアトロの父は昔にこの映画の舞台になったヴェニスのホテルを訪れたことがある。その場所に立ってみると明るい日差しが降り注いでいるのに、海は暗い色をしている。ヴェニスの町も同様に活気のある観光地でありながら、過去の町の香りが漂う。ヴェニスがあってこの作品のテーマが生きるのかと思ったものだ。
ヴェニスの郊外で作られるワイン「ヴァルポリツェッラ」も暗い色をしたワインだ。味わいは深みがあり素晴らしいのだが、どうも暗い気分になるワインである。
ヴァルポリツェッラには陰干しのブドウを使うのが特色である。極甘口の「レチョート」と辛口に仕上げた「アマローネ」は有名である。一般のヴァルポリツェッラにもこの陰干しブドウのエキスがブレンドされ独特の深みを作っているようだ。しかし、その味わいがクアトロの父には暗い気分を招く。このワインが美味しくないと云うことではなく、美味しいのだが悲しいのである。
クアトロに新着のチーズが届いた。山羊のフレッシュチーズにシロップ漬けのレーズンをまぶしたものだ。見た目は和菓子の「鹿の子」のようだ。味わいはシェーブルの酸味とレーズンの甘みが絶妙である。
「ヴェニスに死す」に現れた美青年のようなフレッシュな感動を与えるチーズである。暗い気持ちを抑えて「ヴァルポリツェッラ」を合わせて楽しみたいと思ったクアトロの父だ。

コメント
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