湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆プーランク:田園コンセール

2018年01月09日 | フランス
○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団、プヤーナ(Hpscd)(DA:CD-R)1966live

こういう曲は聞けるときに聴いておかないと聴かないまま何十年もほうっておくことになる。プーランクには「びみょうな」曲が多いがこれなどプーランクのイメージをかなり決定付けるような世俗性と擬古典性のミキシングミュージックで、ラジオで好きになった向きも多いだろうが、私はどうにも、苦手な部類である。だいたい六人組なんてストラヴィンスキーの影響がどうにも時代的に強いわけで、これもストラヴィンスキーの新古典主義に非常に近い擬古典作品である。単線的に旋律をつむいでゆく、もちろんプロフェッショナルな技巧の裏づけはあるにせよ結局かなり単純な構造の楽曲であり、更にハープシコードという音量の小さな楽器をソロに迎えなければならないことからも、管弦楽は合いの手的に挿入し絡みは最小限になっている。簡素なのはプーランクの持ち味でもあるが、オケの各パートにソロ的な動きが多いのもプーランクらしさではある(オネゲルやミヨーとは対極だ)。深刻な宗教的作品とは一線をかくした世俗的な古典音楽の世界を楽しめる人は楽しんでください(投げやり)。でもストコフスキはさすがです。大管弦楽の響きをハデハデにぶちあげるストコ流儀が、ここでは巧く曲構造を壊さないように配慮されて響いている。録音を前提としていないライヴであるにもかかわらず、よくハープシコードの金属的な響きが捉えられている。もちろん爽やかな朝の田園を演出する配慮は無いが(録音音質的にもそれを聞き取るのは無理)、素直にこういう音楽をどう楽しめばよいのか、別に古典を意識しなくても楽しめるんだ、という一案を提示してくれている。とにかく終始勢いがあり、プーランクが好むソリストとソロ楽器の丁々発止のかけあいが速いスピードの中でもしっかり聞き取れる。ソリストも楽器を壊さずによく響かせている。ストコはやはり弦楽器主体の音楽だと素晴らしい響きを引き出してくれる。古典的な小編成の演奏に一長を持っている。いい演奏です。拍手も盛大。○。

※2006-10-15 20:34:48の記事です

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