rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

断固たる意志を持って、ジョルジュ・ルオー

2013-01-20 22:31:39 | アート

老いたる王


ベロニカ

ルオーの絵は、力強く太い線で輪郭を描き、どれほどの層をなしているのかと思うほど絵の具が塗り重ねられているのが特徴。
彼は、気に入るまで筆をおくことがなかった。
絵を何年も手元に置き、筆を加えていく。
理想を追い続ける凄まじい執念と妥協しない強い意志が、彼の絵を貫いている。
それなのに、彼の絵には物悲しい静けさがある。
行き着く先には、悟りによる平明静寂な境地が待っているのだろうか。

周りの空気を読んで、言いたい事も言えず、見なかったことにし、全てをやり過ごすことが処世術とされるこの世において、その通りに倣うことはなかなかに難しい。
心を殺すことは、容易くはない。
殺されそうになっているこの心をどうしたらいいのだろうか。
ルオーの絵を眺めて、彼岸の境地を探ろうと、もがき苦しんでいるのであった。



ミゼレーレ

35年前とはだいぶ変わっている社会の歴史

2013-01-18 12:20:05 | つぶやき&ぼやき
時の流れを感じるにしても、時代によって歴史の扱い方が変わるにしても、驚くことがいろいろある。
まずは、名称の変更。
黄河文明が中国文明、任那が加羅、東学党の乱が甲午農民運動に変わっている。
ほかにもたくさんあるのだろうが、例としてあげた。
つぎに、読み方の変更。
「孫文」ソンブンがソンウェン、「李成桂」リ・セイケイがイ・ソングになり、日本式読みではなく本来の発音に準拠したものになっている。
これは、以前にテレビのニュースあたりで聞いたことがあるので、ひどく驚きはしないが、日本的の感覚において漢字表記とその読みの隔たりに違和感を覚える。
それから、何かと関わりが大いにしても、隣国の中国と韓国の歴史を、中学生の時点で詳しく勉強する必要があるのかとも思う。

隣国のことをよく知り、仲良くするのに異論はないが、相手の言うことばかり聞いて譲歩しても、本当の対等な関係をもたらすとは思えない。
国の成り立ち、風土習慣を知ればこそ、おとなしく聞くばかりでは埒が明かない場合もあるのだ。
世界標準が好きならば、自分の主張を強く押し出してから、相手との距離を測ったほうがいい。
自ら引くということは、ほぼありえないのが世界基準ではなかろうか。

歴史の捉え方、扱い方、範囲が、時の流れで変わるのが致し方ないのならば、体外的な身の振舞い方も臨機応変にしよう。
しかし、芯になる倫理観を大きく変えることはお勧めしたくない。



”禁じられた色彩”と”戦場のメリークリスマス”と”禁色”

2013-01-17 12:13:19 | 音楽たちーいろいろ
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Sylvian & Sakamoto - Forbidden Colours

高校2年生の初夏、この映画”戦場のメリークリスマス”を観に行った。
動機は、坂本龍一をデヴィッド・ボウイが出演し、この映画音楽をアレンジして大好きなデヴィッド・シルヴィアンが坂本龍一とコラボレーションしている、そのもとを知りたかったからだ。
ジャワ島の日本軍俘虜収容所を舞台に繰り広げられる、異常な状態での日本人とイギリス人の人種と文化習慣の違いによる衝突、そして通じていく心を追った内容、耽美的な映像に、ねっとりとした情念を感じた。
暴力と虚栄と信念と意地が交錯する極限においても、人は性的衝動と情愛を失くすことはないのだろうかと、若かった自分は不思議に思ったものだ。

ある雑誌で、デヴィッド・シルヴィアンが、”禁じられた色彩”の詩を書くにあたって、三島由紀夫の”禁色”にふれていた。
それならばと、早速自分も読んでみたが、人の悲しき業、対象はさまざまであれ愛情を注ぐ相手を求め続け、愛情を注いで欲しいというきりきりとした切なさを感じ、落ち込んだ思い出がある。

このどれにしても、人の満たされない悲しさが通底している。
若き日に、これらに出会ったことは、今の自分の核を形成するのに影響しているのだと、つくづく感じた。
自分に、これらの出会いを与えてくれた、”戦場のメリークリスマス”を世に送り出した大島渚監督のご冥福をお祈りします。



名曲集で初めて聴いた、サラサーテ”ツィゴイネルワイゼン”

2013-01-16 16:32:12 | 音楽たちークラシック
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Itzhak Perlman plays Sarasate / Zigeunerweisen

子供の頃に、母が買った名曲集のレコードの中にあった”ツィゴイネルワイゼン”。
哀愁たっぷりに奏でられる音、めくるめくヴァイオリンの速弾きに、驚き聴き入った曲。
レコードについていた曲と作曲家についての鑑賞ノートを読み、スペインのフラメンコからくる印象を頼りに、遠い異国の地を夢想したものだ。

10枚組みだった名曲集が家にやってきてからしばらく、学校から帰ってくるとすぐさまレコードをかけ、どの曲がお気に入りか聴き比べ遊んだことを思い出す。
もっとも、名曲集といってもクラシックばかりではなかった。
映画音楽やイージーリスニングなども幅広く取り上げた、昭和に流行ったファミリー向け名曲アルバム。
それでも、自分でレコードをセットして音楽を聴くという行為が、背伸びした感覚をもたらしてくれて、子供の自尊心を満たしてくれた。

サラサーテの”ツィゴイネルワイゼン”は、子供の好奇心と自尊心を十分に満足させてくれるものだった。
超絶技巧に支えられたメランコリックな響きは、日本の歌謡曲にはない空気を作り出し、空想の世界へと子供の心を運ぶ。
そうだ、「兼高かおる世界の旅」が大好きでよく見ていた。
その番組で得た情報を空想の足がかりにしていたことを思い出す。
今と違って、情報源は少なく、未知なものに興味深深だった子供は、出会った情報をむさぼるように吸収していた。
テレビ番組はもちろんのこと、洋食器に描かれた模様、海外旅行のお土産の包装紙、絵本や教科書にいたるまで、しつこいくらいに見入っていた。
もしかすると、それも幸せといえるかもしれない。
自発的な渇望は、人に目標を与え、生き生きとしたときを過ごさせる。
つまり、「空腹は最高のスパイス」、そんな感じだろうか。




朝の雪氷を踏むねこ

2013-01-15 16:29:47 | ねこ

竹箒と雪とねこ 15/1/2013


お約束のねこのおしり 15/1/2013

朝、小さい人と雪を見に外へ飛び出した。
昨夜より嵩が減っているものの、大きな木の影以外一面の雪化粧。
雪の表面は、朝日を浴びてきらきらと輝いている。
人の歩いていない雪の上に足を踏み卸すと、バリッと音を立てるが、足跡がつかないくらい凍り固まっている。
いつものサクという軽い音がしなくて興がそがれてしまう。
しかし、朝日に輝く雪景色を楽しもうと、小さい人と庭を散策。
すると、どこからねこがやってきて、トコトコ後をついてくる。
雪を見て話しながら写真を撮る我々の様子を、ちょっと離れたところから眺めているねこ。
長閑で幸せな時間だ。

小さい人たちの学校は、路面の凍結により、時間を遅らせて始まる。
彼らが学校へ行ってから、動線の確保のために凍った雪をシャベルで砕きながら、雪かきをしよう。
できることなら真っ白な雪を汚したくないのだが、そうもいかない。
美しい景色に名残を惜しみつつ、シャベルを振るう、快適な日常のために。


椿 15/1/2013


小さい人と作った”雪ねこうさぎ” 15/1/2013