ちさと図書館で調べものをしての帰り道、月が丘の地獄坂の登り口辺りに差し掛かったところで、後ろから移動販売車のわらび餅売りの声が聞こえてきます。ゆっくり近づいてくる様子でしたので、しばらく耳を傾けながら販売車が通るのを待っていました。
「わらびぃ~もち、かきごおりぃ~」
かき氷も売っているようです。荷台を見ると確かに青色に塗られたかき氷器が置かれているのが見えました。
僕の故郷は四国の徳島県美波町で、田井ノ浜海水浴場がすぐ前にあるような環境でしたので、夏には海の家を開業するところが何軒もあり、その中でも「浜店(はまみせ)」と呼ばれていた海岸沿いのお店から、かき氷を家族分よく出前して貰っていました。
その頃は今のようにマンゴーなどがトッピングされた豪華なものではなく、人工甘味料で作られたイチゴ味や白ミツが掛けられたシンプルなものでしたが、氷だけは地下水をゆっくりと凍らせた、隣町の氷屋さんの美味しいものでした。粗悪な機械だったのか氷削りにムラがあり、時々小さな欠片が入っているのが、かえって舌触りには楽しく嬉しがったものでした。
かき氷を急いで食べると「なぜ頭が痛くなるのか?」、という理由をこの夏初めてテレビで知りました。急激な刺激で脳神経が混線を起こしてしまうからということでした。でもこれから食べると分かっているのに、何時も同じように混乱するなんて、案外と人間の感覚も成長しないものなのです。キーンと来るのが分かっていて、それを半ば楽しんでいるのも又人間ということですが‥‥。
スイカなどはもちろん自家製で、井戸水に吊して午後の休憩時に割って食べました。
両親もその頃は若くて、今はただもう懐かしいですネ!!