続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

金山康喜。

2015-04-08 06:49:06 | 美術ノート
 金山康喜の作品は「初めに意図ありき」である。むしろそれを隠蔽すべく構図やバランス、彩色や質感といったものを配置し、それらモチーフの機能に仕掛けを施す。そして物語は動き出すという具合である。

 青は深い青、宙を突き抜けるような透明なブルーであってはいけない。あくまでも深い海の底の鬱積、しかし凄烈な夢の心地を残す青である必要がある。なぜなら、未来への夢想は願望でもあるのだから。

 黄色や白はレモンのフレッシュ・純粋の処女性であり、悲しみと絶望がそれを翳らせてしまう。刻々と迫る時間の猶予を暗示する置時計は作品の中で沈思の支点である。

 コーヒーミルの取っ手を回せば、すべてが押し倒されてしまう。何かの秘密が一つでも解体されれば世界はその瞬間崩壊を余儀なくされる・・・そんなサスペンス仕立ての哀愁。

 火は燃えているか・・・ロウソク・マッチ・コンロ(ランプ)・果ては焼栗屋の屋台のガス。
 燃える・・・生命、恋愛、情熱への飽くなき未練と躊躇、そして深い絶望の影。


 金山康喜の作品は鑑賞者を酔わせる情念がある。誰もが抱く希望と不安が交叉する哀愁が、あの青の中に漂流している、活きている。美しく凛とした品のいい青(作品)の中にある青春の光と影が、鑑賞者を誘って離さない魅力を放っている。

『冬のスケッチ』77。

2015-04-08 06:39:13 | 宮沢賢治
        *
  シグナルに
  にはかに青き火あらはれ
  汽車かけ来たれば
  われせきを越しどてに座せり
  桐青くふりきたり
  列車に明き窓もなく
  まことに夜の貨物のみ。
  たゞしけむりはシグナルの赤をうつして
  ひらめけり。あるいは青くながれたり。


☆章(文章)の化(形、性質を変えて別のものになる)を記し、赦(罪や過ちを許す)記を閲(調べ確かめる)座(星の集まり)は路(人の往来するところ)に肖(似ている)。
 列(順に並ぶ)者の妙(はかりしれない)遭(偶然の出会い)がある也。
 嘉(すぐれた)仏の責(なすべき仕事)は、正しい。

『城』1931。

2015-04-08 06:25:21 | カフカ覚書
あれは、もしかしたら、お内儀さんが使ったのとおなじ文句だったのかもしれません。お内儀さんも、あなたはわたしを知ってからはじめて自分の目的をはっきり意識するようになった、と言っています。


☆もしかしたら言葉の素性(血統)は、平等な言葉だったのかもしれません。わたしが言葉を知ってから、目的意識を持つようになったというのです。