続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『透視』

2015-04-29 05:53:19 | 美術ノート
 鳥かごと卵の親和性・・・ここにどんな反応が起きているのか。
 卵を凝視しながら画布に羽を広げて飛び立とうとする成鳥(飛び立つときの脚?)を描く画家・・・未来の透視?


 この作品を透視すると、もっと違う光景が見えてくる。

 先ずパレットを持つ指先を見ると画家の視点はかなり下方にあることが分かる。とすると、卵の位置するテーブルは前方に傾いでいることになり、当然、卵は転げ落ちる(はずである)。
 次に成鳥が描かれつつあるキャンバス、これもまたおかしい。よく見ると、イーゼルから浮いているし、画家の方へわずかに傾いている。当然、倒れこむ(はずである)。

 この描かれた空間そのものが倒壊の危機を孕んでいる。
 にもかかわらず、それを止めているのは画家の落ち着き払った凝視の眼差しの向くところは卵であり、描かれつつある成鳥というこの連鎖である。この強力なインパクトに、鑑賞者は他の非常事態を見逃してしまうという具合。
(しかし画家は、卵の方を向いてはいるが、瞳は卵を見ていない。沈思黙考、何かを熟慮の態である)

 マグリットの忍び笑い、否、高笑いが聞えてきそうな作品である。
 この作品の惹き起す反応、親和性はユーモアかもしれない。

『よく見てごらんよ』
 透視というより、普通の眼差しでね。マグリットの作品には喜劇の台本が隠れている。(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『冬のスケッチ』97。

2015-04-29 05:44:08 | 宮沢賢治
        *
  こめかみがひやっとしましたので
  霰かと思って急いでそらを見ましたら
  丁度頭の上だけの雲に穴があき
  さびしい星が一杯に光って居りました。
  それからまたそのことを書きつけて


☆太陽の示す救いが現われる。
 死の途(みち)は等(平等)であるように常に運/めぐらされている。
 訣(人と別れる)象(すがた)は逸(かくれている)けれど、拝(敬意を表しておじぎをする)考えの意(気持ち)を書いている。

『城』1951。

2015-04-29 05:31:29 | カフカ覚書
あなたは、わたしのためにいろいろ心配してくださって、職を求めてやっさもっさなさらなければならなかったし、村長にたいしては不利な立場に立たされたし、学校の先生の言いなりにもならなければならなかったし、助手たちにも勝手な真似をされるままになっていらっしゃいました。


☆あなたは、わたしのために心配してくださったり、心ひそかに奮闘し、教区の長に対しては死の側に立ち、空虚を押さえ込まなくてはならなかったので、脳(知覚)は、なされるがままになり、ひどく気分を害してしまいました。