続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『告知』

2016-12-17 07:00:43 | 美術ノート

 『告知』

 これらは地上に立っているのではない、左にある樹木の幹は描かれた地面より下から伸びているように見えるからである。ゆえにこの大地そのものも宙に浮上している可能性もある。
 つまりこの景は現世の否定であり、見たことのない非現実(冥府)を前提としてる。

 The other world・・・岩がよりそうように一塊になってあちらこちらに散在している。仲のよさそうなもの、ごつごつとした亀裂のあるもの、大家族、小家族・・・家族、係累ではないか。
 そこへ突如現れたもの、受胎告知ならぬ死亡告知(黄泉の国での受胎告知)ではないか。

 死が地に落ちるのではなく、天に昇るという空間設定である。
 刻まれた精神の切り紙や馬の鈴(言葉・噂・伝説など)の付いた幕に隠されている存在こそが告知される主であり、それはマグリットの心中深く潜在する「母」ではないか。
 前に立つピルボケは前かと思うと後ろというように同値である。この二対は彼女の両親かもしれない。
 当初、夫である「新聞を読む男」が描かれていたというのも肯ける。(否定ではなく、プロセスだったのかもしれない)

 華々しくも、冥府にお目見えした母のデビュー、告知である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)




『銀河鉄道の夜』323。

2016-12-17 06:38:33 | 宮沢賢治

 けれども俄かにカムパネルラのお父さんがきっぱり云ひました。
「もう駄目です。落ちてから四十五分たちましたから。」


☆我(わたくし)は腑(心の中)を運(めぐらせている)。
 兌(とりかえること)を黙って絡(つなげている)。
 詞(ことば)の自由な吾(わたくし)の文(文章)である。


『城』2509。

2016-12-17 06:27:02 | カフカ覚書

だって、それまでお城がわたしどもを目にかけていてくださったことも知らなかったくらいですもの、いまそれが逆転したことあってどうして知りようがあったでしょう。こういう音沙汰なしというのがいちばん困りましたわ。


☆わたしたちは死に気づきましたが、先の小舟への注意など、先祖の急変をどうして気づくことができたでしょう。こういう休止というのがいちばん不快でした。