俄かにピタッとたうもろこしの粒の落ちてくるのがとまりました。それからもう四粒ばかりぽろぽろっところがって来たかと思ふとあとは器械ばかりまるで今までとちがった楽なやうな音をたてながらまはりつゞけました。
☆我(わたくし)が留める絡(つながり)は雷(神なり)である。
詞(言葉)を留める記を試みている。
皆(すべて)襟(心の中)を合わせていることを隠している。
地上遥か彼方に球体(真理)を見据えている。
建屋は恐ろしいまでに高く聳えているが、上方へ行くほどに大きくなっている。窓は同じ態であれば、単に膨張しているとも思える。つまり、空想のまなざしの視界が大きく拡張しているということで、そこには大いなる矛盾が想定されている可能性もある。
上部の建屋の底の影は黒々としているが、主張ははっきり確信を付いているという自信かもしれない。あくまで仮想のまなざしである。
背景の空は夕焼けというより非現実的な彩色を帯びており、建屋の外壁も溶け込むような同系色である。
光(太陽)は手前から射している。要するに不穏な空気であり、情熱と雑念との混迷、しかしそれを吹き消す青空も垣間見えている。
赤い屋根、煙突から噴き出る赤い火(?)隠しきれない信念の情炎を静かに見せている。
窓は全て画一的で同じ方向を向き、歪んだものは皆無であり、数多(複眼)である。
マグリットの緊張感が伝わってくる。
一本足でずっと立ち続けているような緊迫と持続・・・マグリットの信念の眼差しである。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
パート九
すきとほつてゆれてゐるのは
さつきの剽悍なさくら
わたくしはそれを知つてゐるけれども
服にははつきり見てゐない
たしかにわたくしの感官の外で
つめたい雨がそそいでゐる
☆表(表に出たもの)を換(入れ替える)詞(言葉)で翻(作り変える)。
質(内容)の眼(かなめ)が現れる。
換(入れ替えて)還(一巡りして元にかえる)。
我意は天(天上の世界)である。
その仕事のおかげで、きみが憎らしいとおもっているような人たちとも会わなくてはならないし、この連中は、ぼくがまったく潔白であるにもかかわらず、彼らにたいするきもの憎しみのいくらかをぼくにのり移らせてくれるしまつだ。
☆憎むに値するような人々と一緒にされ、わたし自身、無実であるにもかかわらず、わたしまで他に移されている。