続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』(大ガラス)⑤

2020-05-20 07:09:10 | 美術ノート

 デュシャンは常に《時間の経過における現象》を念頭に入れている。時間と空間の行き着く先、未来というにはあまりに悲観的な崩壊感覚である。しかし、それはあくまで未来への危惧を含むものにすぎず、現今の奇妙に居心地の悪い冷静さで対象物(モチーフ)の主軸をそっと抜いている。
 つまり欠損である。永遠の非生産性は消費を可能にせず、未来への連鎖を否定している。見えない死が内在する。

 作品に救済を求める傾向は見当たらない。今在る現況の警告とも受け取れる作品は、しかし沈黙を貫いて核心を隠蔽している。人を恐怖に陥れるものに「地獄絵」などがあるが、具体性さえ超越し、秘密を漏らす針の孔さえ隠している。
 喜怒哀楽の感情、真善美などという気どりは、ここには無い。

(大ガラス)のヒビに気づいて危険を感じるかもしれない。物理的な危険の察知、しかし、この作品の内実は次元の異なる恐怖を秘めている。
《今は何でもない=平和である》、鑑賞者の安息。そして、むしろこの作品の奇妙な盛り合わせは嘲笑に値するかもしれない。しかし、嘲笑されているのは鑑賞者かも知れないという命題である。


 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク www.taschen.comより

 


『忘れえぬ人々』150.

2020-05-20 06:46:57 | 国木田独歩

その時僕の主我の角がぽきり折れて了った、何だか人懐かしくなって来る。


☆弐(二つ)の目(観点)の趣(考え)がある。
 我(わたくし)が書く説(話)は霊(死者の魂)を化(教え導くこと)であり、腎(重要)なのは、皆(すべて)磊(小さな事にこだわらないこと)である。


『城』3420。

2020-05-20 06:37:29 | カフカ覚書

なにを求めていらっしゃるのでしょう。あなたがすっかりこころを奪われて、いちばん近くにあるものを忘れしまっていらっしゃるのは、どんな重要なことがおありなのでしょう。


☆仕事に没頭し、いちばん近くいちばん善いものを大切にすることを忘れてしまうなんて、どんな重要な方向性があるのでしょうか。