≪鍼と剣≫
著者:鍋島健士 文芸社刊 定価:1500円+消費税
多賀フォーで、実技講演をされた鍋島健士先生のご著書です。
昭和3年、長崎県福江市に医師の三男として、仮死状態で生まれてからの自
叙伝ですが、これを読むと燃えてくるものがあり、勇気ある若者を目指す
方々に読んでもらいたいと思った。
若者だけではない、副題として≪高年よ、大志を抱け!≫と書かれているよ
うに、中年以上の方々にもお勧めの書です。
内容を少し紹介しますと、
医学部へ出すはずの願書が、工場の寮の灯りで書いたために、誤認して薬学
部への願書になり、薬学部へ進学するのですが、戦時中のため、三菱電機の
工場への配属となる。
工場の構内を歩いている時、原爆が落ちるのですが、なんとか生き延びて爆
煙と死体の中をさまよい、敗戦後大学を卒業し、薬局勤務、製薬会社等へ勤
めるのですが、上司と争って辞職。
あることがあって、北の方角への死出の旅に出るが・・・。
北海道で、真庭漢方薬局に勤めたのがきっかけで、東京の鍼灸学校へ進学す
るとともに、脈診の大家、橋本昌枝師に入門。
40を過ぎてから、英語も達者ではないのに(今でも苦手な様子)、鍼と剣を持っ
てハワイへ渡り、ハワイからテキサス州ダラスへ行き、ナベシマ・カップ
の争奪戦まで開催されるようになる。
どちらかと言うとハチャメチャ人生ですが、これがいい、ここに価値がある。
もう少し著者のことを知りたい方は、長野仁氏の紹介文を、こちらでお読み
ください。(緑色で書かれた、◎9月3日・実技編の中ほど)