日高義樹氏大いに語る
江嵜企画代表・Ken
ブータンのお話しをする機会を予定いただいていたのを、失礼もかえりみずキャセル、日高義樹氏講演会へ駆けつけた。200人近い人で会場、大阪府社会福祉会館はほぼ満席だった。ワシントンDCから3日前に日本に着き、本日は、来日はじめての講演会ですと司会者が紹介した。講演は午後2時30分ピタリにはじまり、午後4時までの1時間半、水一杯口にされることもなく語る日高ブシを堪能した。
「質問の時間は15分あります。一問のみ。お名前を言い、簡潔に。それではどうぞ」と司会者。いきなり「日本はアメリカの言う通り動くなという人がいる。役にもたたないF36戦闘機を買わされている。どう思いますか」と聞いた。二番目に「基軸通貨ドルはどうやって出来たのか?ユーロは基軸通貨になれるか?」と聞いた。3番目に「中国が海軍力を増強している。どう思うか。」と聞いた。
第一の質問には「F36は旧式の戦闘機でF22ステルス戦闘機は日本へ売らない。」と答え、正面から質問に答えなかった。第二の質問に対する答えの中で日高氏は「アメリカは中国と密かに通貨協定を結んでいる。習近平と会った時のことだ。当然、そんな記録はない。事実関係として、中国はアメリカの国債を買い続けている。同時に中国はアジアの国債も買っている。昔、日本が、アメリカがだめなら中国があると云った時があった。繊維、自動車、半導体でアメリカと貿易摩擦の時だ。いまアメリカは同盟国である日本とうまく行っていない。アメリカは、日本がなくとも中国があると思っている。」と話したところも面白かった。
第3の質問に日高氏は「アメリカ議会は2週間前まとめた報告書の中に①中国は新型の潜水艦を増強している。②高速巡航ミサイルを開発したと書いた。アメリカの空母は100億ドル。中国の一発50万ドルのミサイルで攻撃される。アメリカ海軍はアジアから引き揚げるほうがいいと書いていた。」とところが面白かった。
講演の中で日高氏は中国海軍の増強について触れた。その中で「アメリカ空軍は、中国海軍を10日間でせん滅させる能力がある。中国が空母を増強してもアメリカは脅威を感じない。中国の空軍はアメリカ空軍より10年遅れている。」と話していた。
日高氏の講演は「新年早々縁起でもないが、日本とアメリカは、考え込むような状況にあります。」という言葉で始まった。そして講演の最後に「2016年にヒラリーが大統領になれば何がおこるかわからないとアメリカ人が不安を感じはじめています。皆さんの資産のことも含めて、これからは、自分のことは自分で考えることでしょうね。」と講演を終えた。
アメリカが日本を信頼していないことについて日高氏は「安倍さんが首相になったあと、オバマ大統領に会った。そのとき、TPP交渉はやると言った。ところがアベノミックスではTPP交渉は何一つ解決していない。日本は言ったことを実行しない国だとオバマは、考えるようになった。」と話した。
「日本人はアメリカは同盟国だから、いろいろあるが、アメリカは日本を守ってくれると思っている。ところが、今のアメリカは、40年前のアメリカと違う。当時は、日本が約束は守らなくとも、ウソをついても、日本は弱いから仕方がないと、言うところがあった。」と日高氏は話した。
ところがそのアメリカは、いま巨額の財政赤字を抱えている。この先増えつづける。陣地を後退させていかなければならない。日本人は、自分のことは自分で考えて、自分でやって行かないといけない。アメリカは日本を助けてくれない。ところが、そのことを、日本人は分かっていないと、日高氏は言いたかったに違いないと思いながら帰路についた。(了)