内転筋を調整することで、仙腸関節や股関節なども調整されますが、何と言っても脊柱起立筋も整うというのは、大きな利点ではないでしょうか。
脊柱起立筋が整えば、それと連結される四肢の筋肉も整えられるので、四肢の疾患であっても、脊椎を整えれば治るわけです。
勿論、四肢の疾患が全て治るとは言いませんが、少なくても四肢関節の異常はある程度整えられるのです。
たとえば、膝痛や肩関節の異常を訴えて治療院に来る人は多いのですが、脊椎を整えれば膝痛や肩関節が治るのも少なくないのです。
そのためには、「診断」が欠かせないのですが、その診断もそんなに難しいものではありません。
たとえば、経験豊かな治療師なら、膝や肩関節の動く方向によって、どこを治療すれば治るということがわかるはずです。
先日、患者さんを仰臥にして手首を掴み、左右に揺すったら、肩関節がガクガク鳴るのです。
この場合、普通なら、肩関節の異常と考えるはずですが、鳴っているのは肩関節でも、原因はそこではないのです。
では、どこが原因なのかと考えて、肩関節に関係する筋肉を観ますと、背部から考えても、脊柱起立筋、広背筋、三角筋、小円筋、大円筋、烏口腕筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋……ETCと、たくさんの筋があります。
あるいは、肩関節が鳴っているのだからと、肩関節を中心に筋肉を考える人もいると思います。
しかし、肩関節の調整で治る人もいますが、肩関節周囲の筋肉をいくら弄っても、なかなか治らない人もいます。
そんな場合には、重力と骨格の基本構造を考えます。
基本構造とは、人が地球に住んでいる間は、地球の引力に引かされて、常に地球に向かって引っ張られていて、その引力に対応できるように骨格は構成されています。
つまり、足があり、骨盤があり、脊椎があり、上肢や頭部があるわけで、それらは例外なく地球の中心に引かされますので、地球の中心に向かって圧力がかかっているわけです。
その時、仮に、足に歪みがあったとしても、重力は同じように働きますので、さらに歪みを強くするように圧力がかかるわけです。
ですから、その圧力がバランスよくかかるように歪みを調整してあげれば、症状は治まるので、体の基本構造を整えるために、骨盤を支えている大腿の筋肉を調整するわけで、その方法として 今度の実践塾 でやる「生物力学療法」やその他の「いろいろな治療法」があるのです。
で、その関節がカクカク鳴っていた方の治療は、生物力学療法(1分かかりません)で腰椎を調整し、それから脊椎を調整しました。
ただ、手技療法だけだと元に戻りやすいので、小さい鍼を3本ほど使って背部を整えました。
そしたら、カクカク鳴らなくなりました。
そして、患者さんは音が出なくなったので笑っていました。(笑)
この治療法は、鍼灸を学び始めた方には面白い治療法かもしれません。