西宮文化協会[月報」投稿原稿((番外編)
江嵜企画代表・Ken
新型コロナウイルス、「緊急事態宣言」一部解除が出る数日前、上六で所用があり、最寄り駅、阪神なんば線「上六」発、三宮行き快速急行に乗車した。たまたま前に座っていたサラリーマン風の2人が話し込んでいた。一瞬、これは絵になるな、と思った。しかし、客人は、どの駅で降りるか読めない。あわただしくスケッチを開始した。2人は尼崎駅で降りたので何とか絵にすることが出来て幸いだった。
会報626号に、西宮文化協会会長、山下忠男さんは、冒頭挨拶の中で「コロナ本来の意味は「太陽の光冠」であり、むしろ明るいイメージで、国内外の会社、ホテル、飲食店、ビールなどの商品名にも多く採用されています。(中略)一日も早く騒動が終熄し、コロナ本来の輝きを取り戻すことを切望します。当分の間、月報内容も乏しくなる恐れがあります。ステイホームされた時間に作成された作品など、事務局にお届けください。」とあり、お言葉に甘えてパソコンをたたいた。
2020年5月17日現在、米ジョンズ・ホプキンス大学まとめの新型コロナウイルス感染者数は、世界で461万4,934人、回復者、166万8,884人、死亡者、31万527人と出ていた。国別では米国が感染者、144万3,397人、死亡者、8万7,568 人と断トツの1位を占めている。一方、日本は感染者、1万6,309人、死者数も748人(クルーズ船関係含まず)である。
横浜港に2月から停泊していたクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号の感染者、712人,死亡者、13人を含めても日本の数は、感染者、死亡者ともに少ない。たまたま同号は5月16日、検疫などすべての作業を終えたとして、マレーシアに向けて横浜港の岸壁を離れた。
5月15日付けロイター通信電子版によると「5月8日時点で、世界全体でクルーズ船378隻が移動中もしくは検疫などのためにカリブ海、地中海、大西洋の港から距離を置いて停泊している。マニラ湾には20数隻が停泊している。一隻につき乗組員の30~40%がフイリピン人が占めている。ここで再開を待てば、かなりコストを抑えられると記者の取材に責任者が答えてくれた。CDC(米感染症センター)の勧告により米国では7月24日までクルーズ船の運航は禁止されている。」と出ていた。
余計な話と叱られそうだが、ほとぼりが覚めないと、クルーズ船に乗るという気持ちになかなかなれない。新型コロナウイルスの健康被害を人が恐れるのは当然であるが、経済的悪影響がそれ以上に危惧される。それが米国の4月の小売り高前月比16.4%減に現れた。過去最大幅の下落である。米国の4~6月のGDPは前期比40%減るとの見方が多い。
経済的打撃の大きさが日々明るみに出てきたこともあり、「新型コロナウイルスはどこから来たか」という議論もエスカレートしている。責任論を巡って米中がお互いで罵りあっている様子が日々伝えられる。世界の二大国による批難合戦のため米中貿易戦争が再燃、それが世界景気にも悪影響が及ぶことが危惧される。
4月末から5月にかけて、ロックダウン(都市封鎖)解除が欧米ではじまり、日本でも緊急事態宣言一部解除の動きが見られるが、世界的には、新型コロナウイルスの感染者、死者数は日々増加している。火の勢いに確かに鎮静化が見られるが、決め手となるワクチンおよび治療薬は現時点では出来ていないと伝えられる。規制緩和に伴い二次感染、三次感染の可能性無きにしも非ずである。
翻って100年前、1918年(大正7年)10月に始まった当時のことばでいう「悪性感冒」、後にスペイン風邪と称されたウイルス感染では日本において、第一波で26万人以上死亡、翌19年第二波の感染で13万人以上が死亡したと伝えられる。第三波も起こった。当時、物理学者、随筆家、俳人の寺田虎彦は「物事を怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりはやさしい。正当に怖がることはむつかしいことだ。」という言葉を残している。
風邪を引かないこと。月並みなことであるが、呪文のように唱えながら一日も早いコロナ禍の終息を心待ちしている次第である。(了)(西宮文化協会会員)