After Fukushimaシンポ風景
江嵜企画代表・Ken
知人のHPに関西学院大学図書館ホールでフクシマ原発事故に
関連したシンポジウムが開かれる。副題に「EUと日本のエネルギー
政策への影響について」とあった。特にEUの見方が知りたく、
一般の人間でも参加出来るかと事務局に確認した。即OKが出て、
楽しみにして出かけた。いつものように会場の様子をスケッチした。
英語と日本語の同時通訳付きである。英語の訓練のためもあったが
原子力の専門用語もあり、イヤホーンをつけたり外したりして、
聞いた。
今回来日したメンバーはEESC(欧州経済社会評議会)から
Laure Batut(労働組合の視点から)、EvePaarendson(経営者の
視点から)、KrzysztofPater(ポーランドモデル:ボランティア
活動)、SandyBoyle(EUと日本:市民社会の役割)について
興味ある多くの話を聞くことが出来、収穫大だった。
特に印象に残ったのは、放射能に対する安全対策に最大の神経を
使っていることと事実関係の徹底した公開を強く求める姿勢が
市民社会の隅々まで浸透していることである。日本人はフクシマ
事故以降、関係者含め当局の発表なるものを全く信用しなくなった。
今一つは、ポーランドの例でひとたび災害が起これば、
放射能災害に限らず、各村、各町で、昔の江戸でいう
「火消し」隊が結成されており、火災、水害もろもろの
災害に即対応出来るシステムが、200年、300年昔から
出来上がっているという話が特に印象的だった。
日本では「火消し」は「消防」、水害は「自衛隊」、
こと放射能被害は守備範囲が全く決まっていなっていない
感じがしてならない。ポーランドに限らず、ヨーロッパは
チェルノブイリで恐怖を味わった。今回のフクシマ原発事故を
契機に、一段と脇を固めたようだ。当事者の日本がいかに
ノホホーンとしているか。外国人から見れば信じられないだろう。
問題は日本である。いまもって原発に対して国としてどう
取り組むのか基本的方針さえ決まっていない。放射能汚染
米問題ひとつ解決できないのが現状である。
毎日新聞、11月30日夕刊をたまたま神戸のさる
喫茶店で読んでいたら甲状腺ガン専門医でもあり
長野県松本市長、菅谷昭氏(68)は「学校単位で
子供達を一定期間、汚染がない場所に移せば、
体内からセシウムが排出されきれいになる。福島の
子供達が、ベラルーシの子供のように健康が
損なわれないよう、政府は早く手を打つべきです」
と提案しておられた。多くの人に読んで欲しい。
原発を改めて考える機会を提供いただいたEESCと
関西学院大学産業研究所に感謝したい。(了)