F社株主総会風景
画・江嵜 健一郎
お豆さんや最近特に人気のカスピ海ヨーグルトメーカーとしてテレビコマーシャルでも紹介されるようになった食品メーカー、フジッコの株主総会に楽しみにして出かけた。本社はポートライナー、市民広場駅から徒歩3分のところにある。
当社は昨年11月創業60周年を迎えた。恥ずかしながら当社のことは知らなかった。たまたま西宮文化協会のイベントとして当社鳴尾工場見学会が3年前にあり、まじめな、いい会社だなというのが第一印象だった。さらに地元神戸東灘区住吉浜近くで家族3人でスタートした会社と知り一層親近感を持ち、ささやかながら100株の株主になり今日に至っている。
株主総会に出る目的は1つ。社長さんから生の声を聞くことが出来るからだ。この日3人が質問した。筆者は2番目に手を挙げた。大豆、コーン、小麦など国際相場が中国買いで倍増、原油も来年には100ドルを超える。コスト高にどう対応されるのか。もうひとつ、当社の知名度を国際的により高めてほしい。例えば英語で発信されたものがあるかと質問した。
社長さんは「ほとんどの主原料は国内で調達している。シメジ、シイタケなどごく限られた食材を中国から輸入している。英語に関しては自分自身も含めて勉強したい。」と答えた。事務局の一人が差し入れたメモを読み「インターネットで出している会社情報の一部に英文を付記するようになった。中国語、スペイン語など増やしていきたい。」と説明した。
質問の過程でも「特に欧米人は日本語が読めない。英語で書いた文章なら読める。さらに言えば、日本人はなぜか国内発信には高い評価をしない。ところが外国からの情報には敏感に反応する。是非、英語での発信を通じて素晴らしい会社だということを国際的にも知らせてほしい」と力説した。
一番に手を挙げた株主は「ストックオプションを当社はとらないのはなぜか。」と尋ねたあと「社外取締役が2人おられるがこの機会に直接話しを聞きたい」と質問した。初めに社長さんから「役員に対するストックオプションはまだその段階に会社のレベルが至っていない。現金で当面続けたい。」と答えた。社外取締役の一人は「花王、伊勢丹、みずほの経験を経て当社のお世話になった。それぞれの会社の経験を活かして積極的に提案している。」と話した。
3人目の株主は「社員に元気を出してもらいたい。そのために給与を引き上げてほしい。今一つ、先にも指摘があったが、この先コストが上昇する。値上げの予定はないのか。」と尋ねた。社長さんから「職員の待遇改善は大切だ。」と答えたあと「値上げは随時実施している。昆布はかって3万トンとれた。今1万5,000トンに半減した。大幅に値上がりしている。全てを価格に乗せられないが随時値上げしている。」と答えた。先の社外取締役が発言「当社は商品の数が多すぎた。そのため残業が多かった。残業を半分に減らした結果、業績は改善、職員も元気になった。」と答えた。
今回の株主総会で新任2名の女性取締役の提案があり承認された。フジッコのような会社こそ女性役員の視点は欠かせないだろうと思われる。女性新任役員の活躍に期待したい。
コロナ対策は昨年同様徹底していた。株主総会への株主出席を控えるようあらかじめ案内が届いた。会場入り口で検温、消毒、会場は会社大ホールを用意、椅子の間隔を2メートル以上取っていた。
当社の売り上げ構成は総菜34%、昆布製品27%、お豆さん20%が主力で売り上げ640億円,純利益35億円。ヨーグルト製品が伸びて売り上げの12%を占めるようになり売り上げ、利益に貢献している。地元びいきもあるが、神戸の企業としても将来ともに楽しみな会社になってほしいと思いながら帰路についた。(了)