原油相場(WTI)が、先週末比7%、バレル4.39ドル上げ、NYダウは
たまらず84ドル下げて10,557ドルで取引を終了した。一時100ドル以上
値下がりしていた。
熱帯性低気圧Rita(ライタ)が、やがてハリケーンに発達、3週間前襲った
Katorina(カトリーナ)被害がいまだ癒えないところへメキシコ湾岸製油施設に
追い討ちをかけるとの懸念を材料にしたようだ。
原油高はエネルギーコスト上昇からインフレ懸念を連想する。カトリーナへの対応の
まずさを厳しく非難されたブッシュ政権は、カトリーナ被害救済として、急遽、
2,000億ドルの緊急財政出動を決めた。財政赤字拡大の材料がまた一つ
増えたことになる。
インフレ懸念はドルの目減りを意味する。
ドルの目減りを防ぐために米国資産に投資家の目をひきつけなければならない。
その結果、景気減速のマイナス材料承知でどうしても利上げスタンス継続を
米金融当局は余儀なくされるのであろう。
米時間明日火曜日開催予定の米FOMC(公開市場委員会)で0.25%利上げ必至との
思惑から、住宅金利引き上げ懸念につながるとの懸念もNYダウ下げに影響したようだ。
この日NY金相場がオンス7ドル上げ17年ぶりの470ドルをつけた。
この動きも投資家が米国でのインフレ進行懸念、ドルの目減りを金への
投資にウエートシフトしようとしている気持ちの現れかもしれない。
サウジアラビアは、OPEC(石油輸出国機構)は、明日の総会で、日量150万
バレルの増産を決めるだろうとの声明を出した。現在OPECの生産能力は日量
2,800万バレルのうち、生産余力は日量200万バレルといわれているから
樽の底をさらけ出した格好である。
今年年初からOPECは同じ話を繰りかえしているが原油相場高騰の歯止めに
ならなかった。今回も古証文を出したに過ぎないと無視されたようだ。
そもそものOPEC誕生の経緯はドルの目減りを防ぐためのカルテルである。
金相場がふたたび鎌首をもたげきたこともドルの目減りにきな臭いにおいを
投資家がかぎつけたからであろう。
お金は一番臆病な生き物である。世界的な金余り現象の中、お金は少しでも
安心、安全な住み心地のいい場所を求めて動き回るであろう。
米国は世界最大の原油消費国である。最悪のシナリオであるが、世界景気が
悪化してこれ以上原油高騰に耐えられないほど原油消費が落ち込まない限り
原油相場高騰に歯止めがかからないかもしれない。
ドイツ銀行が先週発表した原油見通しによれば、2006年のWTI相場は
バレル50ドル、長期的には40ドルと予測している。
日本の石油元売り企業は、今年下期の原油相場をドバイ原油でバレル50ドルを
想定しているようだ。
ドルに相対的に魅力が乏しく、日本円が対ドルで、1ドル=110円程度で収まって
くれているから、日本では原油高騰もいまひとつ実感が乏しい。
原油上げ、NYダウ下げるお決まりコースの米国経済。
インフレ懸念に過剰なまでに反応する米国を片目で見ながらも、原油自給率ほぼ0%の
日本という国の現実も頭の片隅においておく必要があるかもしれない。(了)
たまらず84ドル下げて10,557ドルで取引を終了した。一時100ドル以上
値下がりしていた。
熱帯性低気圧Rita(ライタ)が、やがてハリケーンに発達、3週間前襲った
Katorina(カトリーナ)被害がいまだ癒えないところへメキシコ湾岸製油施設に
追い討ちをかけるとの懸念を材料にしたようだ。
原油高はエネルギーコスト上昇からインフレ懸念を連想する。カトリーナへの対応の
まずさを厳しく非難されたブッシュ政権は、カトリーナ被害救済として、急遽、
2,000億ドルの緊急財政出動を決めた。財政赤字拡大の材料がまた一つ
増えたことになる。
インフレ懸念はドルの目減りを意味する。
ドルの目減りを防ぐために米国資産に投資家の目をひきつけなければならない。
その結果、景気減速のマイナス材料承知でどうしても利上げスタンス継続を
米金融当局は余儀なくされるのであろう。
米時間明日火曜日開催予定の米FOMC(公開市場委員会)で0.25%利上げ必至との
思惑から、住宅金利引き上げ懸念につながるとの懸念もNYダウ下げに影響したようだ。
この日NY金相場がオンス7ドル上げ17年ぶりの470ドルをつけた。
この動きも投資家が米国でのインフレ進行懸念、ドルの目減りを金への
投資にウエートシフトしようとしている気持ちの現れかもしれない。
サウジアラビアは、OPEC(石油輸出国機構)は、明日の総会で、日量150万
バレルの増産を決めるだろうとの声明を出した。現在OPECの生産能力は日量
2,800万バレルのうち、生産余力は日量200万バレルといわれているから
樽の底をさらけ出した格好である。
今年年初からOPECは同じ話を繰りかえしているが原油相場高騰の歯止めに
ならなかった。今回も古証文を出したに過ぎないと無視されたようだ。
そもそものOPEC誕生の経緯はドルの目減りを防ぐためのカルテルである。
金相場がふたたび鎌首をもたげきたこともドルの目減りにきな臭いにおいを
投資家がかぎつけたからであろう。
お金は一番臆病な生き物である。世界的な金余り現象の中、お金は少しでも
安心、安全な住み心地のいい場所を求めて動き回るであろう。
米国は世界最大の原油消費国である。最悪のシナリオであるが、世界景気が
悪化してこれ以上原油高騰に耐えられないほど原油消費が落ち込まない限り
原油相場高騰に歯止めがかからないかもしれない。
ドイツ銀行が先週発表した原油見通しによれば、2006年のWTI相場は
バレル50ドル、長期的には40ドルと予測している。
日本の石油元売り企業は、今年下期の原油相場をドバイ原油でバレル50ドルを
想定しているようだ。
ドルに相対的に魅力が乏しく、日本円が対ドルで、1ドル=110円程度で収まって
くれているから、日本では原油高騰もいまひとつ実感が乏しい。
原油上げ、NYダウ下げるお決まりコースの米国経済。
インフレ懸念に過剰なまでに反応する米国を片目で見ながらも、原油自給率ほぼ0%の
日本という国の現実も頭の片隅においておく必要があるかもしれない。(了)