思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

教育への政治介入の愚かさ―魂の殺人鬼・岩波『世界』5月号

2012-04-23 | 書評
 
 
岩波『世界』の5月号は、特集「教育に政治が介入するとき」を組み、東京都の石原知事と大阪市の橋下市長の行っている政治的なイデオロギーによる学校教育支配の実態を暴いています。 国家主義思想による管理が、民主主義の否定を招き(自由な議論の禁止、現場や子どもたちによる決定を認めない上からの命令)、瀕死に陥っている学校現場に人間性を回復するための特集です。

『東大話法』を厳しく批判している安冨歩さん(東大教授)の言葉を借りれば、まさに悪の集団=ショッカーとなっているのが、強権政治家と教育委員会に所属する役人集団です。仮面ライダーとして彼らに立ち向かっているのが、特集の最初に対談を行っている土肥信雄さん(元東京都立三鷹高校校長)と尾木直樹さん(教育評論家・尾木ママ)です。

その他のライダーは、
藤田英典(共栄大学)さん、中嶋哲彦さん(名古屋大学)、小川正人さん(放送大学)、西原博史さん(早稲田大学)、池添徳明さん(ジャーナリスト)、新井紀子(国立情報学研究所)、尾崎幸謙さん(統計数理研究所)、近藤幹生さん(白梅学園大学)です。

ぜひ、お読みください。特に対談の部分は分かりよく説得力に富みます。

なお、最近になって、よく大学入試問題にも使われている『盗まれた自由」』は、わたしの師であった竹内芳郎さんが1988年に我孫子市で行った講演文ですが(わたしが主宰した講演会※で、筑摩書房刊の『ポストモダンと天皇教の現在』の巻頭論文)、その中で竹内さんは、管理教育を行う文部省や教育委員会の役人とそれに同調する教師たちを「常習犯的な殺人鬼とでも呼ぶほかない存在」(6ページ)と言っています。


子どもたちと子どもの側に立つ教師たちを強権で抑圧し、不幸をもたらしている現実を変えていくためには、まず現実をよく知ることが必要です。個人の良心に基づく市民的な公共性により、強権的な政治支配という悪を打ち破るのは、わたしとあなたの言動の力です。みなさん、ぜひ共に!

教育の【原理】は、こどもを愛し、寄り添うことなのです。

※ このわたしが主宰した竹内芳朗講演会は、現・消費者庁長官(当時は我孫子市議)の福嶋浩彦さんとわたしの二人でつくっていたミニコミ紙『緑と市民自治』(我孫子市全域に新聞折込で配布・4万部)で竹内哲学を紹介して参加を呼びかけたものです。朝日新聞にも事前に取り上げてもらい(千葉版のトップ記事)大盛況でしたが、この講演文を中心にして『ポストモダンと天皇教の現在』が筑摩書房から出版され、それがキッカケで『討論塾』がつくられたのでした。

(補足・ちょうど20年前の岩波『世界』の8月号には、わたしの書いた『我孫子丸刈り狂想曲』が載っていますので、ぜひ、ご覧ください)

 

武田康弘
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