思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

幸徳秋水著『帝国主義』ーー安倍首相が唱える「愛国心」の稚拙さと危険性を見事に暴く「美しい本」。

2013-01-04 | 書評

暫く前に、幸徳秋水の『帝国主義』を読みました。
岩波文庫で出ている原文ではなく、遠藤 利國 さんによる現代語訳です。

人間への深い愛と平和をつくるための条件。国家主義=帝国主義への強い憤り。
有機的な知による律動的な日本語。生きた思想と博識は、読む者に悦びと勇気を与えます。

いまに生きるわたしたちの必読文献だと感じ入りました。

人格高潔で博学博識、人間愛と強い使命感をもった幸徳秋水は、天皇主義を掲げる明治政府により殺害されましたが(無実の罪を着せられ、実質裁判なしで即刻死刑ー大逆事件)、いま、【愛国】を謳う政治家は、彼のような優れた日本人を殺害した明治政府とそれを支えた国体思想(近代天皇制)について、どう思い、どう考えているのでしょうか?

『帝国主義』は、冒頭から、いま主流の安倍首相が唱える【愛国心】がいかに稚拙で危険なものかを完膚なきまでに暴きます。見事な説得力でグイグイと引き込まれてしまいます。明治政府が幸徳秋水を殺さなければならなかった理由がわかります。

わたしは、彼のような日本人をこそ誇るべきだと思います。この書の英語訳とフランス語訳が進んでいるとのことですが、慶賀に堪えません。

(※なお、この本は、とても美しい装丁で、最高級の紙が使われ、亡き幸徳秋水へのオマージュのようです。出版社の良心=深い想いが感じられます。)


武田康弘

 

コメント (3)
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