思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

誤魔化(ごまか)しと狡さは、わが国の権力者の伝統のようですー安倍首相演説

2013-01-29 | 社会批評

目くらまし、
その場その場をしのぐ誤魔化し、
狡さ、
善美とは対極にある政治主義。

かつて、その醜さ(好戦性)を隠すために「美しい」という形容詞を使い、
いまは、その弱さ(表層性)を隠すために「強い」という形容詞を使う。

自身の時代錯誤の信条を隠しつつ国民を教化するために【道徳】(国家主義の政治支配者に都合のよい様式主義の思想)教育を政治権力により成そうと画策し、
その中心に明治政府のイデオロギー(「近代天皇制=靖国思想」)である【皇室への尊敬心】を育てる教育を置く。

このような近代民主主義(人民主権)に反する自身の思想については一言も語らない「所信表明演説」。参議院選挙まではほんとうの目的=超タカ派(ネットウヨクとほぼ同じ)思想を隠し、騙(だま)し通す決意表明としての安倍首相の所信表明演説を聞き、わたしは吐き気を催しました。

戦前からずっと国家権力者の家系にある安倍首相(戦後も皇室批判を許さない【不敬罪】を残そうと奔走した吉田茂をはじめ、岸・佐藤兄弟など、首相経験者だけも7名)は、自身の本『美しい日本』で、戦後の民主主義社会への批判を展開し、特攻隊員の心を天皇制の日本に殉じたものと決め、彼らへの尊敬の念をもつ必要を言いますが、敗戦が避けられない現実になった後で、若者を残酷な死に至らしめる【特攻隊】を組織した許し難い当時の国家権力者(自身の家系)の思想と行為への批判は一言もありません。

 ここに安倍首相の「心」が端的に現れています。このような想念をもつ人物が行う教育改革の恐ろしさをみなが自覚しないと、わが国はまたかつてきた道へと戻ります。ますます『人間を幸福にしない日本というシステム』(ウォルフレン)は強固なものとなり、自由闊達・普遍性を求める豊かな人間性・平等心と優しさ・当意即妙のしなやかな頭と心は失われます。形式・様式主義と厳禁の精神・紋切型の愛国心が支配し、「私」の主観性は消去されます。明治天皇賛歌の「君ケ代」を歌わない子・人は「非国民」としてパージされます。「【人権思想】を廃棄し【国民の常識】に戻す」(安倍首相のブレーンの八木秀次氏の言葉)ということになりますが、そのような社会を認めるなら、われわれ日本人は、今度こそほんとうにお終いでしょう。

わたしは、言葉の最良の意味で「愛国者」(わが日本の未来・こどもたちの一人ひとりの違いがよろこばれる伸び伸び社会をつくるために頑張る人間)ですので、安倍首相の想念=思想を認めることは到底できないのです。

武田康弘

コメント (1)
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