アルゲリッチとピレシュ(以前の表記ではピリス)、タイプの違う「大御所」(ピレッシには似合わない言い方ですが)が弾くモーツァルトの四手のためのピアノ(K381)から始まる3枚組。唖然とする見事な開始です。
ただし、想像すらしなかった二人の連弾は、これ一曲で、ちょっと残念。
最新(2012年)のルガーノ音楽フェスティバルですが、次々と奏されるアルゲリッチと友人たちとの共演=饗宴は(アルゲリッチ抜きの演奏もありますが)曲目も面白く、生気が満ち溢れ輝いています。豊かな音楽のご馳走が続きます。
各曲とも高い芸術性をもつ演奏であるのはもちろんですが、ただ流しておくだけも満ち足りた気分になります。「癒し」などという次元の音楽ではなく、「溶岩の流出」ですが、その方がケタ違いの癒しになるという優れた実例。
最新録音の3枚組で1300円、これを買わない手はない(笑)。
武田康弘