本書は、「個人の尊厳」 こそ、近代民主主義の真髄であることを、歴史的・論理的に平易に説き、明治期からの日本の「立憲主義」の伝統を明快に解説した樋口氏渾身の作です。
樋口氏は、国際的視野の広いたいへん著名な法学者ですが、豊かな教養人でもありますので、近代憲法のもつ意味と意義が広い視野から学問的に明らかにされています。
今回の自民党の「憲法改正案」は、明治政府の要人たち・保守主義の伊藤博文でさえ明確に主張していた「個人」の自由と尊厳の価値を否定する驚くべき「国家主義」であることが説明されています。これは、歴史の中で人類がようやく獲得した民主制の土台を崩し てしまう「案」であり、到底容認できるものでないことが分かります。
読み易く、論理は明晰。 コンパクトにまとまっています。
近代思想の原理と合わさった「憲法とはなにか」の本質を了解するために、政治家や官僚の方はぜひ一ご読ください。
落ち着いて読むと、近代社会とは何 かの意味がよく分かりますので、日本人みなの必読書と言えましょう。
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武田康弘