思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

凄い本! 20人の識者がみた『小沢事件」の真実 テレビ朝日キャスター鳥越俊太郎・木村朗編(拡散希望)

2013-09-12 | 書評

 凄い本です。

 テレビ朝日のキャスターとして知られる鳥越さんの10ページほどの文章で、小沢問題の核心は目が覚めるようにはっきりとします。

 はじめて知る方は、恐ろしくなるほどの話でしょう。

 この本の20人の豪華な執筆人は以下の通りですが、彼らにより、いま、日本がどれほどの政治的危機にあるか、民主主義は風前の灯であるかが説明されています。

 国体思想の持ち主が主流派となった自民党+官僚種族による支配。彼らの集合意識により全体主義へと陥る日本社会ーーここからの脱出には、まず何よりも事実・真実を知ることが必要ですので、本書は、日本人の必読書と言えます。

 一連の「事件」の発端となった検察裏金問題の主役、三井環さん(元大阪高等検察庁公安部長)の内部からの告発には凄い重みがありますし、
 
やはり検察内部からの郷原信夫さん(元東京地検特捜部・現在は大学教授)の詳細な解説は、有無を言わせぬほど明快なもの。

 すべて読むに値する見事な文集ですが、ニューヨークタイムスの東京支局長・マーティン・ファクラーさんの結語は、わたしも指摘し続けていることで同意見。

 「官僚制度の中にいる人々と主要メディアの社員は、同じエリート意識をもった狭いサークルのメンバー。権力側と似た感覚をもっているといえる。・多くが東大・京大・早稲田・慶応などの同じ一流大学の出身で同じ価値観を共有している。・彼らは、みは受験勉強が上手で、とにかくテストでいい点をとることができる。入社式に集まってくる彼らを比べれば、どちらもリクルートスーツに身を包み、どちらが官僚になる人で、どちらが新聞記者になる人かなど、区別がつかない。・多様性に欠けるのだ。」ーーーー「小沢事件」という国家犯罪が象徴する日本の異常性は、そこに根をもつ、との指摘です。

 「真実」あるいは「本音」がどれほど面白いか、そして、日本の現状がどれほど危険なものか、背筋が寒くなり、公共的憤りでいっぱいになりますが、不思議と勇気が湧き上がる本です。ぜひ。


武田康弘

[要旨]
 
政治的謀略としての小沢問題を多角的に検証。国策捜査の被害者、法曹関係者、国会議員、ジャーナリストら20人の論者が真相を暴く!
[目次]
 
序章 かくして検察の「政治的陰謀」は達成された(鳥越俊太郎);
 
第1章 被害者たちが証言する「国策捜査」の実態(検察が潰れる「最大の弱み」を告発(三井環);「暴力組織」に成り下がった検察、「既得権益」にしがみつくメディア(仙波敏郎);権力とメディアの暴走を許さない(鈴木宗男);原子力帝国・全体主義国家に変貌する日本(佐藤栄佐久);日本の民主主義のため最後まで闘う(石川知裕);小沢裁判事件の評価と主権者がとるべき行動(植草一秀));
 
第2章 民主主義の危機、「検察」の暴走を検証する(陸山会事件における検察の暴走とメディア(郷原信郎);法務・検察官僚に組織としての正義はあるか?(川内博史);政治的冤罪事件「小沢ケース」の奇々怪々(有田芳生);検察の暴走と「指揮権発動」の真相(小川敏夫);検察の暴走・司法の崩壊に、市民に何ができるか(八木啓代);暴走検察の背後にある刑事司法の巨大な歪み(青木理));
 
第3章 なぜ、大メディアは「検察」の暴走に加担したのか(革命的改革を阻止した官僚と、それに手を貸したマスコミ(高野孟);「アンチ小沢という空気」の正体(二木啓孝);「週刊朝日」と大手メディアの違いはどこから生じたのか(山口一臣);民主統制なき刑事司法に、メディアが最後の砦となれないことの悲劇(神保哲生);小沢事件をメディアはどう報じてきたか(浅野健一);官僚機構の一部と化したメディアの罪(マーティン・ファクラー));
 
終章 権力の暴走とメディアの加担―小沢問題の意味を問う(木村朗)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする