思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

「大人のいうことは聞かなくてはいけない」 あれれ?  愛され信頼される存在へ。

2018-09-23 | 教育

 5才の孫のことばですが、誰かに言われた=吹き込まれた言葉であることは確かです。

 わたし自身は、幼いころから父は対話相手でしたっから、なにがほんとうか、なにがよいか・悪いか、という【内容】の話で、「大人の言うことだから云々」という【形式】で黙らせるという「悪しき文化」(儒教的な封建道徳)とは無縁でした。
 
母とは幼稚園生のころから「言い合い」をして、よき口喧嘩相手(笑)でしたが、「お母さんの言うことだから聞きなさい」という類のことは言われませんでした。

 問題とすべきは、中身・内容であり、目上とか目下ということではありません。旧来の歪んだ道徳では、人間性のよさ=魅力は開花せず、「型ハマリの意固地な人間」を生んでしまいます。公共に向けて開かれた実存ではなく、日本人の多くに見られる中身での対話・議論のできない「自閉的に孤塁を守る」のみの人になってしまいます。ただの組織人か、自閉か、どちらにせよ不毛です。

 自分の頭で考え、判断する人に育つためには、内容で話し、内容を聞くことが前提であり、不可欠です。古い日本の常識(ブッダやソクラテスの自由対話による内的秩序の形成ではなく、孔子(儒教)の影響による封建的な上下道徳と国学による自閉思想)を超える努力がなければ、狭い精神世界で生きることで人生を終えてしまいますが、その不幸に気付くことすらないのではあまりに哀しいです。仲間主義であり家族主義であり、井の中の蛙。

 いま皆がすべきことは、内容で話し、内容で生きることです。あいさつことばの延長程度の会話しかできない自分自身の生き方(存在仕方)を変えるためには、形式を整えればいい(旧態の常識に縛られているのでそれしか生きる術がない)という想念に支えられた生き方の不幸を深く明晰に自覚し反省することでしょう。人間味あふれる豊かな人間になるためには、ふだんの努力が必要なはずです。

 よき=魅力的な存在か否か、それを測るのは簡単です。こどもの評価です。それは恐ろしほど的確です。こどもは言葉ではごまかせません。あなたがどのような存在かを全身で察知します。楽しさ・よろこびが広がる人・開放的・解放的な人であるか、よき考えをもち、よき人生を歩んでいるか否か。それが赤裸々に問われるのです。こどもに信頼され、愛されることの少ない人は、自分を変えていかないといけません。幼子の目で自分の存在仕方を見つめてみる作業以上に大切なことはないでしょう。



武田康弘

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