自分の頭で考えるための前提ー1 言葉について自覚する
恋知(哲学)するのは、言葉によりますから、言葉について知ることが必須です。
まず、名詞は、言葉で定義できません。
例えば、石を言葉で説明するのは不可能で、直接見たり触れたりして石という言葉の意味をつかみます。海とか山とかの自然物も、カメラとかパソコンとかの人工物もみなそうです。
また、走るとか泳ぐという動詞も、他者の姿を見たり自分が体験しなければ、分かりません。美しいとか、濃やかだ、という形容詞も形容動詞もみな同じで、それを体感=感じ知ることが必要です。
愛とか真心とか誠実とか数字などの概念語もみな同じです。感じ知るという土台が弱いのに言葉を使うと、言葉は宙に浮き、言葉遊びの世界となり、分かったような気分になってしまいます。概念語の連発になる思想的な話しは、生々しい身体性を欠落させてしまい、多くの場合、意味を失います。
五感全体で感じ知ることがないと、深い納得(腑に落ちる)は得られません。これは原理です。直観・体験がなく、言葉だけがある、ではお化けですから。
武田康弘