思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

エリノア・ルーズベルトの言葉 (偕成社・伝記『世界を変えた人々』第18巻)

2012-01-14 | 社会思想

偕成社の伝記「世界を変えた人々」全20巻(小中学生向け)は、すばらしいシリーズで、『白樺教育館』では全巻を揃えていますが、その中の第18巻が、いまなおアメリカで最も尊敬されている女性の『エリノア・ルーズベルト』です。

彼女は、個人的な不幸や苦難を乗り越え、人権と民主主義を実現するためにタフに考え・行動した人道主義者・平和主義者であり、後にきわめて優れた大統領となるフランクリン・ルーズベルト夫人です。

黒人や貧しい人々、虐げられた人々を支援し、ふつうの人々の中にはいり、ふつうのことばで語り、民主的倫理に生きた人ですが、普遍的な人権思想を貫き、驚くほどの忍耐強さにより、国連の【世界人権宣言】(1948年)を起草しました。エリノアがいなければ、思想、信条、民族、体制、発展格差のある国際社会に共通する【人権宣言】をつくることはできなかった、と言われます。ちなみに、彼女は女学校卒で大学教育は受けていません。

子供たちにはもちろんですが、大人のみなさん、とくに政治家や官僚のみなさんには必読本だと思います。これを読んで感動し涙しない人はいないでしょう。全編が「啓示」に溢れています。

その中から、彼女の言葉=思想をご紹介します。

「普遍的な人権とは、どこからはじまるのでしょう。じつは、家の周囲など、小さな場所からなのです。あまりにも身近すぎて、世界地図などにはのっていません。ご近所、かよっている学校、働いている工場や農場、会社などの個人個人の世界こそ、はじまりの場なのです。
そんな場所で、男性、女性、子どもが、差別なく、おなじように、正義、機会の均等、尊厳を求めるべきなのです。これらの権利が、そこで無意味なら、どこにいっても無意味です。住んでいる場所の近くで、この権利を求める市民行動がなければ、さらに大きな世界での改善を求めてもむだでしょう。」(1958年)

「女性というものは、さまざまな障害をはねのけて、1センチずつ前進するものなのです。」(友人への語り)



武田康弘
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大統領F.R讃?! (passant)
2012-01-20 00:13:17
「個人的な不幸や苦難を乗り越え、人権と民主主義を実現するためにタフに考え・行動した人道主義者・平和主義者であり、後にきわめて優れた大統領となるフランクリン・ルーズベルト」との人物評。しかし、彼は「日本に対しては日系人の強制収容を行い、「日本人の頭蓋骨は白人に比べ二千年遅れている」と周囲に語るなど日本人への人種差別的な嫌悪感を強く持っていたことでも知られ、大戦中は常に強硬な対日姿勢を取った(Wikipedia)」との事実に照らしおおいに違和感を覚えます。
これをご存知の上なのか否か、もし知っての上なら、それでもなお彼をそこまで尊敬すべき理由(または心情)を参考までに知りたいものです。(このブログへは価格com.上でタイトルに惹かれてたどり着きました)
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エリノアさんの社会活動を支えた夫 (武田康弘)
2012-01-20 15:42:51
わたしは、アメリカ大統領としてのルーズベルトを「極めて優れている」と評価していますが、これは、アメリカ史の研究者に共通するもので、わたし独自の見解ではありません。
わたしは、彼を人間的・個人的なレベルで「尊敬」しているとはいえませんーそれほど彼をよく知っているわけではありませんので。
言うまでもなく、わたしのブログは、エリノアさんについてです。彼女は、夫であるフランクリンの「裏切り」(女性として)にあいながらも、政治と共同生活者としては深い信頼を持ち続け、生涯、尊敬の念も失いませんでした。
彼女は、日本人の強制収容については、厳しく批判しました。
エリノアさんは、徹底して黒人や弱者の側に立ち、アメリカの右派=保守主義者や差別主義者と闘い、精力的に仕事をこなしました。それを支えたのは民主主義者の夫・フランクリンでした。強制収用の問題は彼の失敗でしたが、その点だけを強調して、アメリカ大統領としての評価をするのは公平ではないと思います。
ともあれ、ここでのわたしの紹介は、エリノアさんなのです。ぜひ、彼女のことをお知りください。
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