偕成社の伝記「世界を変えた人々」全20巻(小中学生向け)は、すばらしいシリーズで、『白樺教育館』では全巻を揃えていますが、その中の第18巻が、いまなおアメリカで最も尊敬されている女性の『エリノア・ルーズベルト』です。
彼女は、個人的な不幸や苦難を乗り越え、人権と民主主義を実現するためにタフに考え・行動した人道主義者・平和主義者であり、後にきわめて優れた大統領となるフランクリン・ルーズベルト夫人です。
黒人や貧しい人々、虐げられた人々を支援し、ふつうの人々の中にはいり、ふつうのことばで語り、民主的倫理に生きた人ですが、普遍的な人権思想を貫き、驚くほどの忍耐強さにより、国連の【世界人権宣言】(1948年)を起草しました。エリノアがいなければ、思想、信条、民族、体制、発展格差のある国際社会に共通する【人権宣言】をつくることはできなかった、と言われます。ちなみに、彼女は女学校卒で大学教育は受けていません。
子供たちにはもちろんですが、大人のみなさん、とくに政治家や官僚のみなさんには必読本だと思います。これを読んで感動し涙しない人はいないでしょう。全編が「啓示」に溢れています。
その中から、彼女の言葉=思想をご紹介します。
「普遍的な人権とは、どこからはじまるのでしょう。じつは、家の周囲など、小さな場所からなのです。あまりにも身近すぎて、世界地図などにはのっていません。ご近所、かよっている学校、働いている工場や農場、会社などの個人個人の世界こそ、はじまりの場なのです。
そんな場所で、男性、女性、子どもが、差別なく、おなじように、正義、機会の均等、尊厳を求めるべきなのです。これらの権利が、そこで無意味なら、どこにいっても無意味です。住んでいる場所の近くで、この権利を求める市民行動がなければ、さらに大きな世界での改善を求めてもむだでしょう。」(1958年)
「女性というものは、さまざまな障害をはねのけて、1センチずつ前進するものなのです。」(友人への語り)
武田康弘
わたしは、彼を人間的・個人的なレベルで「尊敬」しているとはいえませんーそれほど彼をよく知っているわけではありませんので。
言うまでもなく、わたしのブログは、エリノアさんについてです。彼女は、夫であるフランクリンの「裏切り」(女性として)にあいながらも、政治と共同生活者としては深い信頼を持ち続け、生涯、尊敬の念も失いませんでした。
彼女は、日本人の強制収容については、厳しく批判しました。
エリノアさんは、徹底して黒人や弱者の側に立ち、アメリカの右派=保守主義者や差別主義者と闘い、精力的に仕事をこなしました。それを支えたのは民主主義者の夫・フランクリンでした。強制収用の問題は彼の失敗でしたが、その点だけを強調して、アメリカ大統領としての評価をするのは公平ではないと思います。
ともあれ、ここでのわたしの紹介は、エリノアさんなのです。ぜひ、彼女のことをお知りください。
これをご存知の上なのか否か、もし知っての上なら、それでもなお彼をそこまで尊敬すべき理由(または心情)を参考までに知りたいものです。(このブログへは価格com.上でタイトルに惹かれてたどり着きました)