★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

典礼形式

2013-09-08 17:19:00 | 音楽
今日起きたら Charpentierの Quatour de Forme Liturgique が突然の脳内再生……。
昔トロンボーンをやってたときにコンサートでやったのだ。難しかったね……。演奏というより譜読みが……。

健康優良不良少年の末路は如何に

2013-09-08 15:42:35 | 漫画など


2020年東京五輪ときけば、まともな日本人なら「AKIRA」の舞台設定を想起するであろう。この作品では、「健康優良不良少年」などを中心にした超能力合戦によって、――五輪を前にして核戦争後の復興にむかっていたはずの東京が、ひたすら滅茶苦茶になってしまう。もっとも、どうも戦後のまともなフィクションの常で、最後いろいろなものが壊れているにもかかわらず、「希望」を臭わすのが常であって「AKIRA」もそうであった気がする。とはいえ、最後は目がちかちかして筋がよくわからなかくなってしまったので、どうでもいいい。

……というかんじで、破壊のあとのストーリーが作者も読者も苦手なのが、サブカルに限らず多くみられる現象と思う……。いやそれは、サブカルの問題にあらず。

いずれにせよ、今回、五輪が東京に決まった。たぶん、テロがなさそうで、経済もとんでもないことになりそうもないという判断をしたやつが多かったためであろう。「汚染水垂れ流し日本は頭がおかしい」と直前になって詰ったネイチャーの記事など何の影響力もなかったようである。その意味で、ミスターアベが「原発は現在も未来も大丈夫」とか言い切ってしまわなくても大丈夫だった気がするのであるが、健康優良不良少年ではないが「いっちまったもんはしょうがねえんだよ。いっちまったもんわよ」なので、日本は約束を守るために本当に「大丈夫」にしなければならない。「五輪が来たら経済が盛り上がる」とか「東京五輪の時みたいに夢を持つようになる」とか本気で言い本当に元気が出てきているバカが救いがたいことは言うまでもないけれども、いつの世もそういう人はいるので仕方がない。ミスターアベはたぶんアホすぎるために逆によい結論にたどり着くことがごくたまにあるという人間であって、「大丈夫でないことがばれたらまずい」という事態を結果的にあおり立てたことは近年にないヒットである。もう少し頭のよい人間はあそこまで嘘は言えないからな。言うまでもなく、日本は司法も憲法意識も人権意識もめちゃくちゃな国であり、被災地のドラマに涙して罪障感を何とかしてしまう国であり、イデオロギーも神の後ろ盾も持たない普通の市民が煮詰まったあげく地下鉄にサリンをまいてしまったような国であり、意図せず嘘ばっかりついている国であるが……、そういう国は他にもあるかもしれん。それをもって五輪に立候補してはならないということはないと思う。確かに恥知らずではあるであろうが……。だいたい五輪をやったところで、国の格があがるわけでもないわけで、どうでもよい。いやなのは、上の「大丈夫」な五輪を実現するために、どれだけの人々が、一部の人間の自己満足のためにくだらない下働きをさせられ、頭のよろしくない人たちが威張り腐り、なにもしてねえ奴が儲けたり、といった光景が繰り返されるのをみることである。といって批判的に余裕を持っているわけにはいかぬ。今回は確実にわれわれは様々な意味で被害を被る。前の東京五輪のときだってそうだったにちがいない、東京五輪で日本が戦後復興したことを示せたとか本気で思っているとしたら、記憶の改竄もいいとこではなかろうか。あれ、そういえば日本の経済復興って朝鮮戦争のおかげではなかったけか?というテスト勉強後の中学生みたいな半畳を入れるのも、確かにレベルは低かろうが……、そもそも戦争の問題は地震と違って「復興」では全く解消されないのである。今回も地震に原発事故がくっついたので、もう問題は「復興」ではなくなったのだ。まあ、時代劇に観られるごとく、――裏でそろばんをはじいている人間が、どんな醜態をさらすか、それが時代劇的庶民の注目するところであるわけで、今回も期待大である。ツイッタ民の暴走もあるだろうし、文化事業としての建前も吹っ飛ぶ正義の鉄槌が下る可能性があるのだ。

たぶん、これを契機に原発事故も日本のダメさも解決しようという一見前向きなインテリも現れるに違いない。わたくしもそれが「心構え」としては一番現実的だとは思うが、現実がそれほど甘くないことは想像がつく。年々派手になっていゆく開会式閉会式を想像しただけでも、ヲタクの人々は今から気が気ではないであろう。AKBもどきやジャニーズがアニメに合わせてふらふら踊るのを想像して戦々恐々であろう。大丈夫だ、日本の文化はそもそも、帝国主義を発明するような野蛮な世界が理解してくれるほどの「文化」ではない。原子力やら筋力やらで興奮する人たちには、「それなりに」自滅していただければよいのであり、それだけである。とはいえ、不健康な芸術家たちはいつも彼らが自滅する前に体をこわして死ぬ運命なわけだが。








……いまから、ロシアの美少女の新体操の演技が楽しみだ。