このところ、ヒマが有るとネットでB級映画~大体がホラー、SF~ばかり観ています。
昔、テレビで観たもの、初めて観るもの色々ですが、こういうのは寝っころながら気楽に観れるのがいいですね。
B級だからと侮ってはいけません。B級映画の帝王ロジャー・コーマンのE.A.ポー・シリーズなどB級とは思えない格調が有ります。(名優ヴィンセント・プライスの起用が大きい。まるでシェークスピア劇のようだ)
「叫ぶ頭蓋骨=The Screaming Skull」小6の頃、テレビでゾクゾクしながら観た正統ホラー。水木しげるさんもマンガで描いていました。
これらはいずれも50,60年代低予算映画ばかり量産していたAIPという米の映画会社の制作なのですが、この中で私がどうしても忘れられない作品が有ります。
「戦慄!プルトニウム人間=The Amazing Colossal Man」(57年。バート・I・ゴードン監督)
核爆弾の実験地に、なぜかセスナ機が墜落した! 炎上は免れ操縦士はまだ生存しているらしい…しかし、爆弾炸裂の時間が刻一刻と迫っている! そこへ何と勇敢にも救出に乗り出そうという英雄が現れた!グレン大佐です。しかし、無情にも爆弾は作動してしまい、大佐は被爆してしまうのです。
しかし…奇跡的に一命はとりとめ、火傷のダメージもあまり残っていないようです。大佐の英雄的行為も称賛され、献身的な婚約者とも幸せなひと時を送れる…と思ったのもつかの間…運命は思いもよらぬ方向に動いていく…放射能の影響で大佐の人体に突然変異による巨大化現象が現れ始めたのです。
自分を奇異な目で見ている周囲の反応…大佐の苦悩の日々が続く…しかし、それも身体の巨大化の進行と共に、消えて行く…人間的な理性がマヒし、徐々に凶暴化して行ったからです。又身体の異常な変化と心臓機能とのバランスが悪く、このままだと死に至るという…そして、ついに周囲の心配をよそに身長も数十mに達して、モンスターと化した大佐は軍の施設から脱走、ラスベガスの町へと向かった…。
映画館を襲うのですが、そこで上映されていたのは、放射能で人体が縮小してしまう人間の悲劇を描いた「縮みゆく人間」!…しかーし、何というブラックジョークだろう…観客はさぞ、多重混乱で頭がぐちゃぐちゃになってしまったことだろう…
やがて老医師の研究によって巨大化を抑制する薬が開発され、巨大な注射器を大人数で”せーの”とばかりに巨人グレン大佐の足にブチ込んだのですが、巨人は”何をしやがる!”と逆上、そしてなんと大注射器をその老医師めがけて、数十mの高さからダーツを投げ降ろすみたいに”エイヤッ!”とブスリ…なんというコントロールの良さであろう!
この蛮行によって、ついにもしもの場合にと待機していた、軍の砲弾を浴びてしまう事になってしまいました。哀れにもダムから落下して川の急流に消えて行ったグレン…
私が強くこの映画で感じたもの、それは”不条理”の一語です。グレン大佐は美しくも勇敢な英雄でした。しかし、その代償が突然変異のモンスター…これでもか、これでもかと悲劇的な運命にもてあそばれ、ラストまでずっと救いがありません。それでも私が後味にどこか美しさを感じるのは、この種の映画では大概モンスターに”キャーッ”と襲われるヒロインの役割が、ずっと献身的な女性として描かれているためかと思います。それでもやはり悪夢を見ているように不条理です。
もしかしたら制作者は”核”というものが不条理なものだと言いたかったのかもしれません。
尚、この作品の翌58年には続編「巨人獣=War Of The Colossal Beast」が作られ、何故か顔半分が崩壊した姿で生きていたグレン大佐が又暴れ出すのですが、最後は献身的な婚約者の説得で正気に返ったグレンは、運命をはかなんで高圧線に触れて自殺してしまうのでした。やはり救いは無かった!
小4の頃、今は無き少年画報(月間マンガ雑誌)の怪物特集で紹介されていた巨人獣を初めて見た時、”巨人獣?…巨人と怪獣の合体?こりゃ、すげー”と思ったものですが、こんな悲しいモンスターだったとは知りませんでした。
そう言えば…生まれて初めて核の恐怖を知ったのもその頃なのでした…。
核…もっとも不条理なモンスター…
昔、テレビで観たもの、初めて観るもの色々ですが、こういうのは寝っころながら気楽に観れるのがいいですね。
B級だからと侮ってはいけません。B級映画の帝王ロジャー・コーマンのE.A.ポー・シリーズなどB級とは思えない格調が有ります。(名優ヴィンセント・プライスの起用が大きい。まるでシェークスピア劇のようだ)
「叫ぶ頭蓋骨=The Screaming Skull」小6の頃、テレビでゾクゾクしながら観た正統ホラー。水木しげるさんもマンガで描いていました。
これらはいずれも50,60年代低予算映画ばかり量産していたAIPという米の映画会社の制作なのですが、この中で私がどうしても忘れられない作品が有ります。
「戦慄!プルトニウム人間=The Amazing Colossal Man」(57年。バート・I・ゴードン監督)
核爆弾の実験地に、なぜかセスナ機が墜落した! 炎上は免れ操縦士はまだ生存しているらしい…しかし、爆弾炸裂の時間が刻一刻と迫っている! そこへ何と勇敢にも救出に乗り出そうという英雄が現れた!グレン大佐です。しかし、無情にも爆弾は作動してしまい、大佐は被爆してしまうのです。
しかし…奇跡的に一命はとりとめ、火傷のダメージもあまり残っていないようです。大佐の英雄的行為も称賛され、献身的な婚約者とも幸せなひと時を送れる…と思ったのもつかの間…運命は思いもよらぬ方向に動いていく…放射能の影響で大佐の人体に突然変異による巨大化現象が現れ始めたのです。
自分を奇異な目で見ている周囲の反応…大佐の苦悩の日々が続く…しかし、それも身体の巨大化の進行と共に、消えて行く…人間的な理性がマヒし、徐々に凶暴化して行ったからです。又身体の異常な変化と心臓機能とのバランスが悪く、このままだと死に至るという…そして、ついに周囲の心配をよそに身長も数十mに達して、モンスターと化した大佐は軍の施設から脱走、ラスベガスの町へと向かった…。
映画館を襲うのですが、そこで上映されていたのは、放射能で人体が縮小してしまう人間の悲劇を描いた「縮みゆく人間」!…しかーし、何というブラックジョークだろう…観客はさぞ、多重混乱で頭がぐちゃぐちゃになってしまったことだろう…
やがて老医師の研究によって巨大化を抑制する薬が開発され、巨大な注射器を大人数で”せーの”とばかりに巨人グレン大佐の足にブチ込んだのですが、巨人は”何をしやがる!”と逆上、そしてなんと大注射器をその老医師めがけて、数十mの高さからダーツを投げ降ろすみたいに”エイヤッ!”とブスリ…なんというコントロールの良さであろう!
この蛮行によって、ついにもしもの場合にと待機していた、軍の砲弾を浴びてしまう事になってしまいました。哀れにもダムから落下して川の急流に消えて行ったグレン…
私が強くこの映画で感じたもの、それは”不条理”の一語です。グレン大佐は美しくも勇敢な英雄でした。しかし、その代償が突然変異のモンスター…これでもか、これでもかと悲劇的な運命にもてあそばれ、ラストまでずっと救いがありません。それでも私が後味にどこか美しさを感じるのは、この種の映画では大概モンスターに”キャーッ”と襲われるヒロインの役割が、ずっと献身的な女性として描かれているためかと思います。それでもやはり悪夢を見ているように不条理です。
もしかしたら制作者は”核”というものが不条理なものだと言いたかったのかもしれません。
尚、この作品の翌58年には続編「巨人獣=War Of The Colossal Beast」が作られ、何故か顔半分が崩壊した姿で生きていたグレン大佐が又暴れ出すのですが、最後は献身的な婚約者の説得で正気に返ったグレンは、運命をはかなんで高圧線に触れて自殺してしまうのでした。やはり救いは無かった!
小4の頃、今は無き少年画報(月間マンガ雑誌)の怪物特集で紹介されていた巨人獣を初めて見た時、”巨人獣?…巨人と怪獣の合体?こりゃ、すげー”と思ったものですが、こんな悲しいモンスターだったとは知りませんでした。
そう言えば…生まれて初めて核の恐怖を知ったのもその頃なのでした…。
核…もっとも不条理なモンスター…