人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

転がる石のように

2018-11-23 04:13:15 | 映画・音楽など
昭和45年の今頃の時期、私は勇気を持って、レコード屋さんに行きました。
中学二年の頃のことで、二千円ばかしという私の全財産ともいうべき"大金"で買い物をするというのは、大変勇気のいることだったのです。
そして、買おうと思っていたもの..."これに手を染めてしまって果たして大丈夫なんだろうか?、呪いが降りかからないだろうか?、マトモに生きられるんだろうか?...おそらく不良になっちまうに違いない..."決心するには勇気が入ったのですi
目指したものは、ローリング.ストーンズのベスト.アルバムi
これが自分が買おうと強く意識して、自分が自由に出来るお金で買った初めてのLPレコードだったのです。
同時にそれは約一年という私の短い"シングル盤時代"の終焉であり、以降長期に渡る表面、裏面(シングル盤ではロクな役割しかなかった)のある"LP時代"の幕開けなのでした。(こういう話自体ピンと来ない向きもおられるでしょうが)
ところで、何故ストーンズだったのか?、よく覚えてません。私はほとんど曲を知らないし(曲とアーティスト名が一致しない例が沢山あった)、知識もほとんど無かったのです。
ただ何となく、メンバーが謎の死を遂げたとか麻薬で逮捕されたとか、不吉な良からぬニュースは伝わっていたのです。メンバーの顔もよく知らず、ミック.ジャガーの名前だけは知ってるという状態だったのです。
確かクラスで、ビートルズの話で盛り上がっていて、一人だけ女の子だったか「私はストーンズの方が断然スキi」と熱を込めて言っていたことが気になったのを覚えています。
で、別の男子が"ジャカジャーン、ジャカジャーン、バリ、ソー、ラィー..."と私の聞き覚えのある一節をヘタクソに口ずさみ出したので「そりゃ、何て曲だ?」「ジャンピン.ジャック.フラッシュだ」「おお、そうかi」...これで決まったんだと思います。
そして、禁断の領域にいよいよ足を踏み入れてみると...「サティスファクション」これは知ってる...俺は満足出来る...
その頂点に達したのは「黒くぬれi」で、もうトリハダものでした。この数年前リアルタイムで街中に流れていたものです。
"何ちゅー、風変わりなメロディー、サイケデリックな曲調("全部、黒く塗りつぶしたい"と歌う逆説i)..."(この衝撃は恐ろしいもので、今でも私のカラオケでは定番になってます。もう、呪いという他ないか?)
こうして曲名とメロディー、メンバーの名前と顔(ビートルズと違って誰もマトモな顔してない?i)が一致するようになったのです。
しかし、ずっとストーンズのファンだったという訳ではなく、その後の音楽鑑賞傾向は目まぐるしく変遷して行きました。
私の中には、このことに限らず、進取性に富んで目まぐるしく変節するところと、感激したことをいつまでもずっと変わらず覚えているところという両面があるのですが、こういう変音を奏でながら、あの音盤にも似た年輪を重ねてきたのでした。
(CDの時代になっても、私のLPの呪いは続いていて、例えば20曲入りだったら前半10曲までがA面、後半10曲までがB面という数え方を今でもしています)
思い返してみると、正直言って試行錯誤の連続のようにも思えます。昔は"評論家"という神サマのご託宣におもねってしまうこともあったし、私の背伸びしたがる、人の知らないものに手を出したがるという、イヤラシイ、イビツな根性に委せてしまうこともありました。
だけど、何だろうと自分がホントに気に入る、惹かれるものこそが自分にとってホンモノである、という当たり前のことに落ち着かざるを得ないのは言うまでもありません。

石は動かないままなのだろうか?
それとも、その回りが変わって行くのだろうか?
いや、石は動かないように見えて転がり続けているのだろうか?
石も回りも転がり続けているのだろうか?
いやいや、ずっと静かに変わらないままのようにも見える...
コメント (22)
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