当たり前のようでとてつもないこと

精神的な道において、特に修行に勤しんでいるものならば感じられるように、“精神を集中すること“が如何に重要なことであるかは、論を待たないことでありましょう。
悟りを開くため、神を見い出すため...目的は何であれ、そうすることで幸福に与るであろうことが思念されているのでしょう。
然るに、私がいつもここで言い続けていることは、“現臨にある時、意識は自ずから集中される“、ということなのです。
それは言うまでもなく、こちらの意志的、人為的な操作によるものとはまるっきり違うことなのであり、そして又それは、幸福に与ることでもあるのです！
で、そういうのは日常茶飯事なことでして...って、当たり前のように言ってますが、これはもしかして、とてつもないことを言っているのでしょうか？
“いや、絶対当たり前に思っちゃいけない！...失ってみたら分かる！...そうだろう！、と自分に言い聞かせて、と！“...
私は生来、その現臨にある時、“思考の堂々巡りから離れられる”、ということでもそうなのですが、絶えることの無いそれに悩まされて来た人間なのです。
自分自らコントロールすることが出来ず、従って自ら精神集中することも出来ないのです。あまり馴染みが無いとは言え、瞑想などで一度もそうなったことなどありません。
私は出来ないことが骨の髄まで知らされており、自覚している、否自覚させられているのです。
だから、現臨に与ることが出来るのですよ！...いや、だからだから、これは出来る、出来ないという話しじゃないんだってば！
もし、これを私自らにより、自分の修行の成果により、自分の力により...と思念すれば、多分これを失うことになるでしょう！
この恩寵の事態というものは、自分が思い、為すことにばかりに思いが傾いてしまっている人間には、与りしれないことなのでしょう。
分かる人には、きっと分かる(？）...分からない人には絶対分からない！
だから、いつも言うように、その“やり方“を示すことが出来ないのです。
ただ、人は最も好きなこと、惹かれることに夢中になっている時、自ずと諸々の思念から離れられ、意識の集中がなされるものだ、ということは何らかのヒントになるでしょう。
私の場合、どうやら苦境から脱出する緒口をもがき、探しているうちに、祈りならぬ祈りの中で、最愛のものからラブコールを受けたようなのでした...。