「鈴木さあ~ん」「佐藤さ~ん」
突然の日本語で呼ぶ声に、思わず声のする方を振り返った。
そこには、店先で土産を売る男がこちらを向いて笑いかけている。
バリに来て、観光客、取り分け日本人が良く立ち寄る観光地のみやげ物屋では、
こうして比較的日本人に多いとされる“姓”を呼んで、客の気を引こうとすることも多いらしい。
勿論、私の姓は鈴木でも佐藤でも無い。
しかし、知り合いには鈴木さんも佐藤さんもいる。
こうして異国の地に来て、行き成り聞きなれた名前を呼びかけられると条件的に反射してしまう。
振り返ると極めつけは、「社長さあ~ん、これ買って!」と来る。
彼らは、“社長”と呼ばれ、悪い気がしない日本人の性癖を見抜いているのだ。
こうして、店先からは観光客を引き込もうと色々な声がかかる。

立ち寄った観光地では、車を降りると現地の土産売りが纏わり着いて来る。
「これ、全部で1,000円」と何本ものブレスレットや、何枚ものTシャツを差し出してくる。
こうした観光地に来るとどうやらお土産は、1,000円単位の纏め売りが多いらしい。
品物の品質は解らないが、値段は確かに安い。
しかし、現地ガイドは「相手にするな」と言う。
一人でも相手にしようものなら、我も我もと取り巻かれ、終止が付かなくなるらしい。
ヒンドゥー遺跡、ゴア・ガジャでは、なにやら大きな木彫りの置物らしきものを持った
男たちが数人近寄ってきた。
黒っぽい黒檀のような彫り物で、多少興味を引かれたが、現地ガイドが全く意に介した
様子もなく、先に先にと行ってしまうので、ここは置いてきぼりを食ってもいけないと、
横目で未練たらしく見遣りながら、足早にガイドに追いついた。
旅行情報誌の簡単インドネシア語基本フレーズのコーナーを、本誌から切り離し、
いつか使うことが有るかも・・とポケットに忍ばせていた。
が、咄嗟にはその存在を思い出せず、見て読み上げる事も出来なかった。
ガイドに言えば良かったと後で少し後悔した。
インドネシア語で「少し待って下さい」と。(続)

【写真:バリのお店】
突然の日本語で呼ぶ声に、思わず声のする方を振り返った。
そこには、店先で土産を売る男がこちらを向いて笑いかけている。
バリに来て、観光客、取り分け日本人が良く立ち寄る観光地のみやげ物屋では、
こうして比較的日本人に多いとされる“姓”を呼んで、客の気を引こうとすることも多いらしい。
勿論、私の姓は鈴木でも佐藤でも無い。
しかし、知り合いには鈴木さんも佐藤さんもいる。
こうして異国の地に来て、行き成り聞きなれた名前を呼びかけられると条件的に反射してしまう。
振り返ると極めつけは、「社長さあ~ん、これ買って!」と来る。
彼らは、“社長”と呼ばれ、悪い気がしない日本人の性癖を見抜いているのだ。
こうして、店先からは観光客を引き込もうと色々な声がかかる。

立ち寄った観光地では、車を降りると現地の土産売りが纏わり着いて来る。
「これ、全部で1,000円」と何本ものブレスレットや、何枚ものTシャツを差し出してくる。
こうした観光地に来るとどうやらお土産は、1,000円単位の纏め売りが多いらしい。
品物の品質は解らないが、値段は確かに安い。
しかし、現地ガイドは「相手にするな」と言う。
一人でも相手にしようものなら、我も我もと取り巻かれ、終止が付かなくなるらしい。
ヒンドゥー遺跡、ゴア・ガジャでは、なにやら大きな木彫りの置物らしきものを持った
男たちが数人近寄ってきた。
黒っぽい黒檀のような彫り物で、多少興味を引かれたが、現地ガイドが全く意に介した
様子もなく、先に先にと行ってしまうので、ここは置いてきぼりを食ってもいけないと、
横目で未練たらしく見遣りながら、足早にガイドに追いついた。
旅行情報誌の簡単インドネシア語基本フレーズのコーナーを、本誌から切り離し、
いつか使うことが有るかも・・とポケットに忍ばせていた。
が、咄嗟にはその存在を思い出せず、見て読み上げる事も出来なかった。
ガイドに言えば良かったと後で少し後悔した。
インドネシア語で「少し待って下さい」と。(続)

