
国民宿舎・古岩屋荘にも大浴場の前に、ランドリーコーナーが設けてある。
今回も着替えは一組しか持参していないので、宿についてまずすることは、身包み
剥いで、洗濯機に放り込むことである。
どこの宿でも、何台もの洗濯機を備えているわけではないので、モタモタとしては
いられない。風呂も食事も後にして、まずこれが先である。

洗濯待ちの時間は、今時の井戸端会議のようなものだ。
同じような遍路も多いので、共通の話題で話のきっかけもつかみやすく、結構な事に
洗濯待ちも決して退屈な時間にはならないのが嬉しい。

そこで顔見知りになり、食事場所で隣り合わせにでもなろうものなら、もう何年来の
知己のように話も弾むから、そんなところにも歩き遍路ならではの面白さがあるような
気がしてならない。
泊まった翌日の早朝、曇り空に突然雷が鳴り響き、大粒の雨がパラパラと降って
きたかと思うと、雨は何事も無かったかのようにすぐに止んでしまった。
前夜からテレビの天気予報が、東日本の大気が不安定になるので、突然の雷や雨・
突風に注意するようしきりに呼びかけていた。

よもやこの地にまでは及ぶまい、降水確率も午前が30パーセントだから大して心配も
していなかったが、やはり高地ではこんなこともあるものかと、少し心配になる。

レストランの大窓から、黒い雲が垂れ込める空を見上げて、本降りにならなければ良い
のにと心で念じながらの朝食となった。(続)

